日本人の生活を服で変えるも「選択肢」を奪った!?ユニクロの功罪とは

河合 拓 (代表)
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ユニクロの罪1  「ファッションの楽しさ」を奪った

 

まったくの優等生であるユニクロの功罪の「罪」の部分をみつけだすのは実は難しい。

 しかし、「ユニクロ前とユニクロ後」を比較してみると、若者のファッションに変化がでてきたように思う。

 とくに、ユニクロに行く層は、私のように「インナーや肌着はユニクロでいいや」という合理主義者、あるいは、「ファッションに悩むなんて馬鹿らしいユニクロで十分」という層。そして、「ユニクロだったら、好きな服を好きなだけかえる」という自分自身の言い訳ができる買いもの好きな女子達だろう。

 女性は、身にまとう服で自分のイメージを変えたり、気分を変えている。それによって、その日一日の行動様式は変化するのだという。

 本来、ファッションとは楽しいものなのだ。この楽しさを奪った、といったら言い過ぎだろうか。

 いずれにせよ、今の若者の服装を見ていると、私が大学生だったころと比べて、本当に貧しくなった(バブル時代が異常だったということも言える)と思うことがある。

ユニクロの罪2  大きさが生み出す社会的責任

 次に、ユニクロの罪の部分は、その「大きさが生み出す社会的責任」である。

 日本のアパレルで3兆円企業となったアパレルは過去存在しないし、これからもないだろう。

 ユニクロが名実ともに、世界ブランドに変わってゆくことになるわけだが、新疆ウイグル自治区の綿糸を使ったと文句をつけられ、米国の輸入を禁止させられる、あるいは、パリで査察が入るなど、社会的影響が大きくなると、優等生としての「振る舞い」を求められる。

 同社はこれまで「より高く」、「より大きく」を目指してきたわけだが、この局面でうまく自社をコントロールできるのか、という疑問が残る。

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記事執筆者

河合 拓 / 株式会社FRI & Company ltd.. 代表

株式会社FRI & Company ltd..代表 Arthur D Little Japan, Kurt Salmon US inc, Accenture stratgy, 日本IBMのパートナー等、世界企業のマネジメントを歴任。大手通販 (株)スクロール(東証一部上場)の社外取締役 (2016年5月まで)。The longreachgroup(投資ファンド)のマネジメントアドバイザを経て、最近はスタートアップ企業のIPO支援、DX戦略などアパレル産業以外に業務は拡大。会社のヴィジョンは小さな総合病院

著作:アパレル三部作「ブランドで競争する技術」「生き残るアパレル死ぬアパレル」「知らなきゃいけないアパレルの話」。メディア出演:「クローズアップ現代」「ABEMA TV」「海外向け衛星放送Bizbuzz Japan」「テレビ広島」「NHKニュース」。経済産業省有識者会議に出席し産業政策を提言。デジタルSPA、Tokyo city showroom 戦略など斬新な戦略コンセプトを産業界へ提言

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