マッシュグループが英老舗ライフスタイルブランド「バブアー」を日本で販売する意外な理由とは

2023/07/19 05:55
小内三奈
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ワックスジャケットは日本の「着物」のように代々引き継がれる

バブアー大阪ルクアイーレ店
バブアー ルクア イーレ店

 現在、伊勢丹新宿メンズ館、大丸東京店、ルクア イーレ店、大丸札幌店に店舗を構え、公式ECサイトに加えてZOZOタウンでの販売もスタートしている。「親子代々長く着られる」「サステナブル」「ジェンダーレス」というブランドのコンセプトは、意識の高い消費者に受け、売上は順調に伸びている。2023年秋冬から2024年春夏にかけて56店の新規出店が確定しているという。

 バブアーを代表するのが、コットン生地にワックスを塗り込んだワックスジャケットだ。撥水、防風性能が高く、着れば着るほど味が出てくるところが魅力で、定期的なリワックスやリペアにより、父から子へ、さらに孫世代へと受け継がれ、長く愛用できる。

 もちろん、ラインナップにはワックスを塗り込んでいないジャケットも揃う。さらに、Tシャツやトレーナー、ポロシャツなど普段使いのアイテムや、レインコートやレインシューズ、帽子や手袋などの小物類、さらにドッグアイテムまで幅広い品揃えとなっている。

 濱田氏は「ワックスジャケットのように世代を超えて長く着続けられるものは本当に珍しい。日本でいうなら、着物と同じようにイメージしてもらいたい。サステナブルな商品を選び、親子代々受け継いでいくという理念を日本全国に伝えていきたい」と語る。

 一方で、「日本では、ファンが多い男性にもバブアーはアウターブランドとしての印象が強い状態」と指摘する通り、バブアーがジャケット以外にもさまざまなアイテムを取り揃えていることや、男性、女性問わず楽しめるライフスタイルブランドであることはまだまだ知られておらず、認知度に課題がある。事実、売上に対する構成比は、男性8割、女性2割という現状だ。

 「ポートフォリオ上、よりジェンダーレスへ、より幅広い年齢へと顧客の幅を広げていく必要がある。アウターブランドというイメージから一早く脱却し、ライフスタイルブランドとして知ってもらえるようなマーケティング戦略を進めていく」

アウター以外のアイテムも充実

 直近の目標は、男性7割、女性3割、最終的には男性6割、女性4割となることを目指して、男性女性どちらにも対応できる商品をアピールしていく。

 具体的には、「すでにブランド認知度が高い男性向けには、夏であればポロシャツやTシャツなどへも洗濯の幅を広げてもらい、早い段階でライフスタイルブランドへと進化させる。一方、まだまだブランド認知度の低い女性に対しては、SNSはもちろん雑誌などでのPRを強化し『女性も着られるブランド』としての認知を高めていく」とのことだ。

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