ビッグ・エー三浦社長が語る
”日本版アルディ”実現への道筋

2019/05/22 05:00
「ダイヤモンド・チェーンストア」副編集長 雪元史章

イオン傘下で小型ディスカウントストア(DS)を展開するビッグ・エー(東京都/三浦弘社長)は、欧米で急伸している「ハードディスカウントストア(HDS)」を長年ベンチマークしながら店舗開発を行ってきた。足元の状況を見ると、人口減少や小商圏化、そして節約志向の高まりなど、同社にとって追い風となる条件が揃っている。そんななか三浦社長がめざすのは、”日本流のHDSづくり”だ。日本にHDSを根付かせ、花咲かせるためにビッグ・エーが考えていることとは。

※本記事は、5月21日に行われた流通3団体スーパーマーケット統計調査記者発表会での三浦社長の発言をもとに構成しました

アルディ、リドルを徹底的にベンチマーク

ビッグ・エーの三浦弘社長
ビッグ・エーの三浦弘社長

 

 「ビッグ・エーは今年で設立から40年を迎える。しかしこの40年間で当社の知名度、そしてHDSという業態そのものが日本で浸透していないという点には責任を感じている」――。ビッグ・エーの19年2月期の売上高は約700億円、店舗数は229店舗(同期末時点)。堅調に事業を拡大しているように見えるが、三浦社長は現状についてやや厳しい見方を示した。

 ビッグ・エーは1979年、米ワールドワイドチェーンシステムズ社の指導の下、ボックスストアを運営する企業としてダイエー傘下に設立された。売場面積は100坪前後が標準で、シェルフレディパッケージ(※)の導入や店内装飾の簡素化などによって店舗の運営効率を追求、さらに取り扱いアイテムを売れ筋商品に絞り、全店共通の単品大量仕入れを行うことでEDLP(エブリデー・ロープライス)を実現している。

 そんなビッグ・エーが長年ベンチマークしてきたのが、欧米で勢力を拡大しているアルディ(Aldi)やリドル(Lidl)といったHDS企業だ。2社ともにドイツに本拠を置き、ヨーロッパ諸国や米国で店舗網を拡大。一部の国では食品スーパーを中心とする既存の食品小売業を脅かす存在として注目されている。ビッグ・エーはアルディやリドルの手法を学びながら、自身も「HDSチェーン」を標榜する国内では他にほとんど類のない企業だ。

※シェルフレディパッケージ:ハサミやカッターなどを使わず簡単に開封でき、そのまま売場に陳列できるパッケージ

ハードディスカウントストアが日本で浸透しない理由

アルディ_アメリカ店舗
アルディの店舗(写真は米ノースカロライナ州の店舗)

 しかし、冒頭の三浦社長の発言どおり、日本ではHDSという業態が広く浸透している状況にはない。その理由として三浦社長は、HDSを含むDSに対するイメージの問題を挙げる。「節約志向の高まりとともにDSという業態への認知度は高まっているものの、とくに商品に対する信頼度の面では『安かろう悪かろう』という印象がいまだに根強い」というのが三浦社長の見方だ。

 では、同じHDSであるアルディやリドルはなぜ世界中で勢力を拡大できているのか? 

 実はアルディもリドルも、どの市場でも最初から存在感を示せていたわけではない。「とくに英国では以前、HDSの地位は決して高くなかった」と三浦社長は言う。あくまでも低所得者層の買物場所であり、”安かろう悪かろう”というイメージが強かったという。

 しかし今や状況は一変。テスコ(Tesco)、セインズベリー(Sainsbury’s)、アズダ(Asda)、モリソンズ(Morrisons)のいわゆる「ビッグ4」を、アルディやリドルが猛追するという状況にある。その背景には、リーマンショックや増税によって新規顧客(中間層以上)が流入し、それに合わせてHDSがオーガニックを含む質の高いPB商品や、生鮮食品の拡充、インストアベーカリーの導入を進めたことで、彼らが定着したという経緯がある。商品や店舗ブランドに対する信頼を高めたことで、顧客層の拡大に成功したというわけだ。

次のページは
ビッグエー飛躍のカギを語る!

1 2

人気記事ランキング

© 2019 by Diamond Retail Media