複合カフェにカラオケ、ジム… スーツのAOKIが新業態を次々成功できる驚きの理由
コンビニ型フィットネスジムは前期より倍増
―最近では、小型の24時間セルフトレーニング施設「FiT24」の展開にも、力を入れています。22年3月期には前期の約2倍、91店舗まで増やす計画です。競合するコンビニ型フィットネスジムも増えているなか、FiT24の強みは何ですか。
青木 シャンプーやタオルを完備しているといった利便性、直営方式による高品質なサービスの均質性といった特徴があります。また、快活CLUBなどとの複合店では、併用できる利便性の他、女性のお客さまにとっては、「深夜でも安心して利用できる」といった声もいただいています。
―ところで、スーツ専門店は物販ですが、エンターテイメントはサービスなので、ビジネスモデルが全く違います。エンターテイメントの店舗運営や接客、人材育成などのノウハウも、最初はなかったはずなのに、新しい事業を軌道に乗せた秘訣は、どこにあるのでしょうか。
青木 実は裏を明かせば、トライ&エラーの繰り返しでした。初めの頃は、新しい業態について知るために、他社さんのフランチャイズに加盟して、あれこれ勉強しました。
また、物販とはいえスーツ専門店で培った接客サービスのノウハウは、サービス事業でも応用できると考えています。スーツの販売ではクロージングまで30分、1時間とじっくり時間をかけて、お客さまのニーズやウォンツを把握し、最適な提案をします。ニーズ・ウォンツを把握する力が、エンターテインメントにおいても差別化された新たなサービス・コンテンツ開発や人材育成に生きていると思います。
―AOKI HDではどのようなシステムで、人材を採用・育成されているのですか。
青木 当社の特徴は、グループ会社であることです。グループシナジーを発揮して、さまざまなステージでスタッフのスキルの幅を広げることで、店舗間のサービスレベルを向上させていることが挙げられます。
5年ほど前から、時期によってスタッフを別業態に出向させる取り組みを始めています。例えば、快活CLUBは8月が繁忙期なので、その時期に手が空くAOKIのスタッフが応援に行くといった具合です。そうすることで、スタッフは物販もサービスも経験でき、物事を多角的に観察できるようになるわけです。多能工が可能な生産性の高い人材育成につながっています。
また、業態別の専門職採用も一部では実施していますが、スーツ専門店でグループの理念や接客力の基礎を学び、エンターテイメントやブライダル事業で活躍するケースが多いです。また、若手社員を抜擢し、さまざまなプロジェクトにトライさせ、経験を積ませることで、将来の経営者候補育成にも力をいれています。