複合カフェにカラオケ、ジム… スーツのAOKIが新業態を次々成功できる驚きの理由
既存店の顧客の声から新業態が生まれる
―今後の新規事業も、既存事業から派生する可能性が大きいのでしょうか。
青木 そう考えています。自社の強みを活かして、お客さまの生活が豊かになる新規商品・サービス・コンテンツの開発に目下、全力投球中です。ご来店するお客さまのニーズを吸い上げて、ソリューションを新業態の形にしていくというのが、当社の成功パターンです。また、郊外で展開している既存事業のように、地域ごとにお客さまにあてにされる業態開発に今後も注力していきます。
それに、各業態で顧客情報を共有することで、業態間の相互利用のシナジーも得られます。現在、約1300店舗ですが、さらに増やしていきたいですね。
―今後は、スーツ専門店の枠を越えた、物販とサービスを持つ新しい業態に進化していくかもしれないわけですね。コロナ禍でデジタルシフトが加速するなか、AOKI HDはむしろ、リアルのビジネスにチャンスを見出しているわけですね。
青木 その通りです。当社には、全国約1300店舗という資産があります。それを生かして、お客さまに“リアルの感動体験”を提供していきたいですね。
DXは、顧客データを統合解析したり、ニーズを素早くキャッチしたり、ビジネスモデルを具現化するのには役立てています。しかし、それだけでは、厳しさを増す消費環境で、競合に打ち勝つのは難しい。
当社のリアル店舗には、年間約4000万人というお客さまがご来店されます。接客から得られる、そうしたお客さまの声は、当社しか保有していない貴重な経営資源です。定量的なデジタル情報だけでなく、リアル店舗でしか得ることができない、お客さまの言葉のニュアンスからくみ取ったニーズ・ウォンツといったアナログ情報とかけ合わせれば、当社ならではのユニークなサービス、新規事業が生み出せるのではないでしょうか。