クリエイティブでも実践!メルカリ流の生成AI活用術

ダイヤモンド・リテイルメディア:高浦佑介 (ダイヤモンド・ホームセンター編集長)
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新たな売買体験をつくり出す可能性

──チームが立ち上がって半年あまりですが、これまでにリリースされたサービスについて教えていただけますか。

石川 わかりやすいものとして、2つのサービス、「メルカリChatGPTプラグイン」、「メルカリAIアシスト」がある。

 まず「メルカリChatGPTプラグイン」について。

 お客さまのなかには、メルカリで検索する際に特定の商品を探しにくるというケースもあるが、その前にGoogleで検索をしたり、SNSを見てどれがいいかなというのを決めたうえで、メルカリに商品を探しに来る方も多い。

メルカリAI
メルカリは生成AIを活用することで事業価値の最大化をめざしている

 この「メルカリChatGPTプラグイン」は、ChatGPTに軽い機能を載せたもので、たとえばキャンプを始めるというときに、キャンプライトを買いたいのだけれど、「どういうライトがいいか」「予算5000円ぐらいだと、どういうものがあるか」といったことを調べるのに、今までであればGoogleなどの検索エンジンで検索をしていたが、このChatGPTに聞くことができる。

 すると「キャンプライトであればこういう種類があって、それぞれの種類の説明をしてくれる」。それに対して「これがいい」と回答すると、それに合ったものがメルカリの中にあるかどうかを検索し、検索結果をこのChatGPTの中で示してくれる。

 その検索結果の中から欲しいものがあれば、そのままタップしてメルカリで購入することができる。

 これは新しいものの買い方になるのではないか。今後必要な機能になる可能性があると考えている。

──ではもうひとつの「メルカリAIアシスト」についてはどうでしょうか。

石川 このメルカリAIアシストは、メルカリをよく知っている人がすぐ隣にいて、その人に何でも聞くことができ、アクションもその人がしてくれるという、いわゆるメルカリ版のCopilot (コパイロット)のような機能をめざしてつくったものだ。

 最初の機能として提供したのが出品した商品の改善提案機能だ。

 メルカリの中には現在、売れているものと売れ残っているものがある。実は売れ残っているものの中には、もったいない商品の書き方をしていて売れ残るというケースが少なくない。

 たとえば商品名「ニットM」としただけになっているものがある場合、我々の過去のデータから「もう少しこういう表現にすれば売れるのに」といった改善余地があったとすると、AIがそれを見て、改善余地がある商品にはポップアップでその旨を出品者に知らせ、それを確認するとチャットのUIに移動して、このAIから「どういう改善をしたらいいのか」(商品名や商品の説明文・価格など)を提案する。

 その提案を受け入れる指示を出すと、このAIアシストが具体的な改善内容を作る。その中に「これが」というものがあれば、それを選択すると商品の内容が更新される。

 このAIアシストで改善した結果、どれぐらい販売につながったのかをデータで取得し、今後のさらなる改善にもつなげている。

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ダイヤモンド・リテイルメディア

高浦佑介 / ダイヤモンド・ホームセンター編集長

2010年東京大学文学部卒業、12年同大学院修士課程(社会心理学)修了。14年ダイヤモンド・リテイルメディア入社。『ダイヤモンド・チェーンストア』誌の編集・記者を経て、19年4月より現職。

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