ロピアと至近で激突! 角上魚類流山店にみた「魚屋」の真髄

矢野清嗣
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「ストーリー性」のある平場

4レーン目は各種切身で、「金目鯛切身」(700円)、「真鯛切身」(780円)、「生たら切身」(100g180円)などを販売。エンドではサクを配置しており、「かつお冊」(250円)、「生トラストサーモン冊」(480円)、「生メカジキ切身」(100g480円)などを値ごろ感のある価格で提供する。反対側のエンドでは「剣先いか」(100g160円)、「するめいか」(2杯440円)など配置していた。

 5レーン目では、3段の棚を使って「栃尾油揚げ」(160円)、「鯛ちくわ」(240円)、「数の子わさび」(450円)、「いか塩から」(420円)、「もずく」(150円)など練物、佃煮、珍味など約70品目を販売する。エンドは西京漬けコーナーとしており、「銀タラ西京漬」(1切450円)、「銀鮭西京漬」(同350円)、「赤魚西京漬」(同350円)など6品目を販売していた。背面でも「日高昆布」「食べる小魚」「若布」「とろとろ海藻スープ」「貝柱」「剣先するめ」など各種乾物約70品目を揃える。

 感覚的な話になるが、平場はそれぞれのレーンに「ストーリー性」のようなものがあり、どのお客もじっくりと商品を見ながらも流れるように買物を楽しんでいた印象だ。

魚屋としての「専門性」

 ここからは売場全体の印象を述べていきたい。流山店の売場は壁面の「総菜」「寿司」「刺身」「丸物」と「冷凍魚」「塩干」「珍味」などを配置する平場で構成されているとくに目を引くのは、お客が多く集まる壁面の4部門はそれぞれが独立した専門店のような販売スタイルとなっている点だ。

 角上魚類ホールディングスの組織図を見ると、「業務部」の下に「生鮮指導課」「寿司指導課」「惣菜指導課」と専門の課があることがわかる。こうした組織が技術指導を行い、スペシャリストを養成しているのが窺える。

まぐろコーナーで販売していた「本鮪中トロスライス」(600円)。加工技術力の高さが窺える

 商品部にも「鮭鱒魚卵課」「塩干珍味課」「冷凍食品課」といった部署があり、それぞれ専門性を追求している。若いスタッフを採用し、スペシャリストを育成する──そうした専門性の追求の取り組みが「角上魚類」の強さの真髄と言っていい。

 また、売場でのきめ細やかな提案にも目を引かれた。プライスカードには商品特性と調理方法が記載されているほか、売場各所には素材を活用するためのレシピが置かれている。こうした気配りも「魚屋」としての自信のようなものを感じさせる。

ロピア VS 角上魚類、軍配が上がるのは?

 さて2022年4月27日には、流山店から直線距離で100mほどしか離れていない場所に、「ロピアおおたかの森コトエ店」がオープンしている。同店が入るショッピングモール「COTOE(コトエ)流山おおたかの森」には、そのほかに「コジマ×ビッグカメラ」「西松屋」などがテナントに入る。

2022年4月にオープンしたロピアおおたかの森コトエ店

 精肉専門性を出身とする「ロピア」と「角上魚類」の競争は、「肉」と「魚」の専門店の競争でもあり、ロピアとしても厄介な相手になることだろう。また、ショッピングセンター間の競争、「流山おおたかの森S・C」と「COTOEおおたかの森」の競争で考えると、流山店の誘致は「流山おおたかの森S・C」を運営する東神開発(東京都)の“ロピア対策”ととらえることもできる。実際に、調査期間中にロピアの店舗に何度か足を運んだところ、他エリアの繁盛店ほど店内は混雑していないように筆者は感じた。国内のショッピングセンター開発のパイオニア的存在のテナント構成力が窺えた。

 いずれにせよ、流山店の開店によってお客の選択権が増えたことは間違いない。全国的にも珍しい人口増加エリアにおける両者の競争はどちらに軍配が上がるか。定期的にチェックしたい店舗だ。

(店舗概要)
所在地 千葉県流山市おおたかの森西1-3-1おおたかの森S・C ANNEX2
開店日 2022年6月30日
売場面積 1階全体約300坪、角上魚類売場約100坪(ともに歩測)
営業時間 10:00~20:00
駐車台数  180台(ANNEX2のみ)

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