トップアナリストが見通す、2022年度小売展望!低生産性の企業は淘汰へ
巣ごもり特需に沸いた2020年度から一転し、反動減の影響もあって企業間格差がみられた小売の21年度決算。22年に入ってからは、エネルギー価格や原材料価格、物流費の高騰が顕著となり、事業環境の不透明感が強くなっている。22年度以降、小売業にはどのようなリスクが待ち受けるのか。それらに対する打ち手はあるのか。小売業界のトップアナリスト、クレディ・スイス証券の風早隆弘氏が解説する。
SMの2021年度決算は企業間格差の兆しか
食品スーパー(SM)の2021年度業績は明確な企業間格差の兆しがみられ、22年度以降を見通すうえでも示唆に富んでいる。巣ごもり特需の恩恵を受けて増収増益となった20年度業績を下回った企業が少なくない一方、ヤオコー(埼玉県)、ライフコーポレーション(大阪府:以下、ライフ)、ベルク(埼玉県)では増収を確保した。
SMはこの10年、ドラッグストア(DgS)との業態間競争を余儀なくされ、「SMとして自分たちはどうあるべきか」が大いに問われた。逆説的にいえば、DgSが売場面積300坪規模の「フード&ドラッグ」の出店を加速させ、グロサリーを中心とした食品の低価格訴求によってSMの市場シェアを侵食していく一方で、総菜強化などによりDgSとは明確に異なる来店動機を消費者に提示したSMは自社のポジショニングがとりやすくなっている。

DgSとの同質化競争に陥らないための武器を持っているSMは、事業環境が厳しい局面に入っても、自らの強みにより磨きをかけやすい。地域の消費者に寄り添いながら、DgSと競合しない立ち位置をいかに追求できるかが重要だ。
SMの企業間格差には複合的な要因があるが、経営陣が一貫した方針を掲げ、これを着実に実行できる組織や仕組みを整え、業態間競争への対応に備える「総合力」こそ、その重要な要素といえる。
たとえばヤオコーは、
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