イオンもセブンも祖業厳しく、他事業に活路求める、GMS決算2022

ダイヤモンド・チェーンストア編集部
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専門店やECが台頭するなか、事業構造改革が進められてきた総合スーパー(GMS)。コロナ禍では、食品は一様に伸びた一方で、衣料品やテナント売上高は打撃を受け、企業によって業績が分かれた。国内の食品市場競争が厳しくなるなか大手流通グループは、今後いっそう需要拡大が見込める海外やヘルス&ウエルネスなどの領域で成長を図る動きを加速させている。

 セブン&アイ・ホールディングス(東京都:以下、セブン&アイ)の22年2月期連結業績は、営業収益が対前期比51.7%増の8兆7497億円、営業利益が同5.8%増の3876億円。営業収益では、これまで首位だったイオン(千葉県)を抜いてトップに躍り出た。

 グループの業績をけん引したのが、米セブン-イレブン(7-Eleven)を中心とする「海外コンビニエンスストア(CVS)事業」だ。21年5月に買収した、米ガソリンスタンド併設型CVSの「スピードウェイ(Speedway)」の業績が加算されたことで、22年2月期は営業収益全体の約6割、営業利益全体の約4割を海外CVS事業が稼ぐまでになっている。

セブン&アイ・ホールディングスが営業収益では、これまで首位だったイオン(千葉県)を抜いてトップに躍り出た。セブン&アイ・ホールディングスの看板(時事通信社)

 一方の国内CVS事業は、コロナ禍が逆風となった前期と比較して営業収益は1.7%増の8732億円となったが、コロナ前の水準には戻っていない。そこでセブン&アイは店舗商品の即時配送サービス「7NOW(セブンナウ)」の導入店を25年2月期までに全国へ拡大させる方針を打ちだし、店舗を起点としたサービスで新たな市場創造に動いている。

 イトーヨーカ堂(東京都)やヨークベニマル(福島県)などを含む「スーパーストア事業」は、“コロナ特需”が落ち着き、コロナ禍での営業自粛による固定費の増加で営業利益も同36.7%減の187億円となっている。

GMS営業収益/経常利益増減率の企業分布(連結ベース)

 国内2位となったイオン(千葉県)の22年2月期連結業績は、営業収益が同1.3%増の8兆7159億円、営業利益が同15.8%増の1743億円で増収増益だった。

 大幅に業績を伸ばしたのは、ウエルシアホールディングス(東京都:以下、ウエルシアHD)を中心とする「ヘルス&ウエルネス事業」だ。同事業の営業収益は同7.8%増の1兆310億円と初めて1兆円を突破している。調剤の拡大や積極的な新規出店のほか、M&A(合併・買収)を推進。ウエルシアHDは21年12月、ドラッグストア企業のププレひまわり(広島県)を買収したほか、22年6月にはコクミン(大阪府)を子会社化した。

 そのほかのセグメント事業では、

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