アナリストが分析する食品スーパー2022 年度業績明暗、再編を招く2つの要因
食品スーパー(SM)にとって2021年度は、緊急事態宣言とまん延防止等重点措置(まん防)の影響を大きく受けた一年だった。足元では、エネルギーコストの上昇、販売価格の値上げ、円安リスクなど、避けて通れない環境変化が相次いで起こっており、先が見通せない状況が続く。22年度のSMには何が待ち受けるのか。いちよし経済研究所の柳平孝氏にSMの21年度決算を総括してもらった。
反動減への対応で二分化したSM業界
2021年度は4月下旬から9月末まで緊急事態宣言、22年1月9日から3月21日は「まん防」が発令され、人流制限が何もなかった期間は1年のうち約4カ月しかなかった。その影響で“コロナ特需”が持ちこたえた面がある一方、総菜・生鮮が弱いSMは利益が半減するなど大きな影響を受けた。コロナ特需の反動減が直撃した企業と、持ちこたえた企業との二極化が顕著に表れた年でもあった。
増収増益、あるいは営業減益が小幅にとどまった企業の共通項は「勝ち組3点セット」(①充分な在庫を確保した売場面積2000㎡級の大型店の運営、②プロセスセンターによって商品供給力が担保された生鮮総菜売場の展開、③低価格帯を中心としたプライベートブランド〈PB〉商品)が揃っているという点だ。増収増益のハローズ(広島県)、3割増益となったアルビス(富山県)が代表的である。
減益着地であった企業の中でも先行投資を行ってきたライフコーポレーション(大阪府:以下、ライフ)は、下期に過去最大規模の25店舗の大改装を実施して売場のアップデートを行い、22年3月に業績予想の上方修正を発表した。同社の決算は、見かけは減益だが、先行投資を積み増しした余裕のあるものであった。
その一方でトラディショナルな企業、たとえばいなげや(東京都)、ユナイテッド・スーパーマーケット・ホールディングス(東京都)傘下のマルエツ(東京都)、カスミ(茨城県)などは大幅減益となった。総じて、生鮮・総菜の商品開発あるいは店舗リニューアルや売場アップデートを継続的に行っていた企業が反動減を持ちこたえたといえそうだ。
新年度はコスト高が懸念材料
毎年2月の
決算2022ランキング の新着記事
-
2022/06/30
トップアナリストが見通す、2022年度小売展望!低生産性の企業は淘汰へ -
2022/06/29
アナリストが分析する食品スーパー2022 年度業績明暗、再編を招く2つの要因 -
2022/06/29
通販、靴など11業態、85社の決算2022を一挙公開 -
2022/06/29
外食業決算2022は上位10社中7社が増収、マクドナルドは全店売上過去最高! -
2022/06/29
異変!?小売業の稼ぐ力を示すROA&企業価値を示す時価総額ランキング2022 -
2022/06/28
コロナ後の消費変化、小売業が対応すべき5つのポイントとは
この特集の一覧はこちら [16記事]
関連記事ランキング
- 2024-11-08怒濤の出店で1兆円が見えたロピア!大きな進化と懸念される副作用とは
- 2024-11-07「Foods Park」の17店舗目はイオンの跡地に居抜きで出店!
- 2024-11-18レシートは語る第15回 まもなく関西進出のオーケー、データでわかる競争力と成功のカギ
- 2024-11-0633億円めざすマミーマート、生鮮市場TOPセキチュー上尾店徹底解説
- 2024-11-12価格訴求から価値提案にシフト?「岡崎エルエルタウン店」で見られたロピアの進化
- 2024-11-08専門家がヤオコー久喜吉羽店を徹底分析!斬新な鮮魚改革と意外な課題とは
- 2024-11-18既存店の数字が良い企業は実践!競合スーパーが進出しても影響を受けない方法
- 2024-11-08店舗網とM&Aの歴史が丸わかり!最新ロピア勢力図MAP!
- 2024-11-20子育て世代をターゲットにするヤオコー川口SKIPシティ店の最新MDを徹底解説
- 2024-11-13繁盛店は80億円!ロピア、強烈な販売力支える「100%現場主義」の正体とは