アークス横山清社長激白、激変の時代「新たな道筋探る大勝負が始まった」とは
食品スーパー(SM)業界でもとくに積極的なM&A(合併・買収)戦略を推進し、今では事業エリアを本拠の北海道から北関東にまで広げているアークス。2018年には「新日本スーパーマーケット同盟」を結成しエリアを超えた連帯も図るなど、常に合従連衡の動きの中心的存在となってきた。そんな同社の横山清社長は、コロナ禍を経た食品小売市場の現状と今後をどうみているのか。

新たな「道筋」を探る大勝負が始まった
──コロナ禍が収束に向かうなか、食品小売業を取り巻く現在の事業環境をどのようにとらえていますか。

●1935年、北海道芦別市生まれ。60年、北海道大学水産学部卒業、野原産業入社。61年、ダイマルスーパーに出向。85年、同社代表取締役社長。89年、丸友産業と合併しラルズ代表取締役社長。2002年アークス代表取締役社長、07年ラルズ代表取締役会長兼CEO(いずれも現任)
横山 振り返れば1990年代から約30年にわたり、「賃金は上昇しないが物価も上がらない」というデフレの時代が続きましたが、コロナ禍やロシアによるウクライナ侵攻といった社会情勢の変化を機に、さまざまな課題が顕在化してきました。端的に言えば、「世界中から安くておいしい商品を仕入れ、お客さまに安定的に適正価格で提供する」というこれまでの道筋が途切れ、いくつもの道からどれを選ぶべきか思案に余る「多岐亡羊(たきぼうよう)」の状況にあります。
最も大きな課題は価格上昇でしょう。2022年以降のインフレやコスト高騰に伴って、値上げはいよいよ避けられなくなってきました。私はその流れに抗うよりも、どのように移行していくかがポイントだと思います。いうなれば“新しい価格帯”を、お客さまに納得してもらうという考え方です。そうでなければ、いかなる企業も事業を継続できません。
そうした厳しい状況下でもお客さまからの支持を維持することが、食品小売業界のオーバーストア、オーバーカンパニー化に“決着”をつけるひとつの道筋です。正々堂々とした戦いが展開されるなかで、劣後する企業はやがてはっきりと劣後していくとみています。
──コロナ禍を機に買物行動が変化したなかで、SMの店に求められる役割もまた変化しています。
横山 コロナ禍で消費者の行動が変容したことで、「価値変容」が起こっています。ここでいう価値とは、
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