アークス横山清社長激白、激変の時代「新たな道筋探る大勝負が始まった」とは
食品スーパー(SM)業界でもとくに積極的なM&A(合併・買収)戦略を推進し、今では事業エリアを本拠の北海道から北関東にまで広げているアークス。2018年には「新日本スーパーマーケット同盟」を結成しエリアを超えた連帯も図るなど、常に合従連衡の動きの中心的存在となってきた。そんな同社の横山清社長は、コロナ禍を経た食品小売市場の現状と今後をどうみているのか。
![アークス](https://diamond-rm.net/wp-content/uploads/2023/04/dcs230415_Chart23_Interview_00.jpg)
新たな「道筋」を探る大勝負が始まった
──コロナ禍が収束に向かうなか、食品小売業を取り巻く現在の事業環境をどのようにとらえていますか。
![アークス代表取締役社長横山 清氏](https://diamond-rm.net/wp-content/uploads/2023/04/dcs230415_Chart23_Interview_01.jpg)
●1935年、北海道芦別市生まれ。60年、北海道大学水産学部卒業、野原産業入社。61年、ダイマルスーパーに出向。85年、同社代表取締役社長。89年、丸友産業と合併しラルズ代表取締役社長。2002年アークス代表取締役社長、07年ラルズ代表取締役会長兼CEO(いずれも現任)
横山 振り返れば1990年代から約30年にわたり、「賃金は上昇しないが物価も上がらない」というデフレの時代が続きましたが、コロナ禍やロシアによるウクライナ侵攻といった社会情勢の変化を機に、さまざまな課題が顕在化してきました。端的に言えば、「世界中から安くておいしい商品を仕入れ、お客さまに安定的に適正価格で提供する」というこれまでの道筋が途切れ、いくつもの道からどれを選ぶべきか思案に余る「多岐亡羊(たきぼうよう)」の状況にあります。
最も大きな課題は価格上昇でしょう。2022年以降のインフレやコスト高騰に伴って、値上げはいよいよ避けられなくなってきました。私はその流れに抗うよりも、どのように移行していくかがポイントだと思います。いうなれば“新しい価格帯”を、お客さまに納得してもらうという考え方です。そうでなければ、いかなる企業も事業を継続できません。
そうした厳しい状況下でもお客さまからの支持を維持することが、食品小売業界のオーバーストア、オーバーカンパニー化に“決着”をつけるひとつの道筋です。正々堂々とした戦いが展開されるなかで、劣後する企業はやがてはっきりと劣後していくとみています。
──コロナ禍を機に買物行動が変化したなかで、SMの店に求められる役割もまた変化しています。
横山 コロナ禍で消費者の行動が変容したことで、「価値変容」が起こっています。ここでいう価値とは、
流通相関図2023 の新着記事
-
2023/04/14
規模拡大は利益率向上につながるか?食品スーパーのM&A 戦略とその効果を徹底検証! -
2023/04/14
初掲載!小売の新たな連携の形、「共創」アライアンス軸で見る流通相関図 -
2023/04/14
稼ぐ力落ちるドラッグストア!気鋭のアナリストが見通すコロナ後の流通勢力図とは -
2023/04/14
市場拡大、プレイヤー乱立、ネットスーパー・生鮮デリバリー軸の流通相関図2023 -
2023/04/13
デジマにリテールメディア、メディア運営!大手食品卸のDXが加速する理由とM&Aの行方 -
2023/04/13
異業種間M&Aが活発化!家電+αの領域を攻める家電量販店相関図2023
この特集の一覧はこちら [16記事]
![流通相関図2023](https://diamond-rm.imgix.net/wp-content/uploads/2023/04/a9a18ccb640b2cca6c0cd115bff71ef6.jpg?auto=format%2Ccompress&ixlib=php-3.3.0&s=b5c1d6596cea17c1bb4948ed690d30f7)
アークスの記事ランキング
- 2024-07-15週刊スーパーマーケットニュース コープさっぽろ、宅配トドックで新たに食器・調理器具を回収
- 2024-06-04明暗!ライフ、U.S.M.H、アークス、2024年2月期決算分析!
- 2024-06-26週刊スーパーマーケットニュース 日本生協連、23年度の地域生協の事業概況を発表
- 2019-08-05流通再編の衝動その4 “地方豪族”が結集、その意味するところとは?
- 2019-11-19#8 北海道最強スーパーの意外すぎる過去。デフレ時代に咲いた遅咲きの花、アークス
- 2024-03-12「小さく始めて大きく育てる」アークス流のDX戦略
- 2018-12-27有力スーパー3社の電撃同盟、背景にある「重要な課題」とは!?
- 2019-10-18#7 北海道のスーパー「3極寡占化」がもたらした「新北海道価格」のご利益
- 2019-12-18#9 イオンという「外資」が、3極寡占化を促した
- 2023-09-13東北・北海道小売業売上高ランキング2023 積極出店で存在感増すツルハ、ベニマルは大幅増益
関連記事ランキング
- 2024-07-11リニューアルでロピア化した「スーパーバリュー草加店」の売場を解説!
- 2024-07-17「ロピア化売場」はどう変わった?「スーパーバリュー草加店」店舗レポート
- 2024-07-01スマホ1つでレジまで…進化するスーパーマーケットアプリの現在地
- 2024-07-12「地場DS」でわずか5店舗でも競争勝ち抜く日東物産の戦略
- 2024-07-05人手不足時代に小売業がとるべき2つのアクションとは
- 2024-06-26上場食品スーパー決算ランキング2024 好決算目立つも格差拡大
- 2024-07-05あのチェーンも導入!食品スーパーの「量り売り」、成功の秘訣は?
- 2024-07-16ロピア、初のFC、初の沖縄店舗を徹底調査!本土と同じ点、違う点とは
- 2024-07-01ヤオコーの南北政策の旗艦店、伊奈店のシニア対応MD徹底分析
- 2024-07-24週刊スーパーマーケットニュース サミット、小売業向けワーク用スニーカー開発に協力