稼ぐ力落ちるドラッグストア!気鋭のアナリストが見通すコロナ後の流通勢力図とは
コロナ関連の各種規制がほぼ解除され、いよいよ「コロナ後」のフェーズに入った。消費回復が期待される一方、値上げ基調のなかでの生活コスト増など、小売業の経営環境は楽観できない状況が続く。そんななか、各業態では大小さまざまな合従連衡の動きが活発化しているが、勢力図はどのように変化していくのか。長年小売市場をカバーしてきた、クレディ・スイス証券の風早隆弘氏が展望を解説する。
経営環境激変のDgS 大手軸の寡占化進む
コロナ後の小売市場の行方を考えたとき、筆者が最も注目している業態がDgSだ。各社が高速出店を続けるなかで、明らかにオーバーストアの状態になっている。店数が増えるだけ売上高は伸びているが、筆者が重視する指標の1つ、「売場面積1㎡当たりの営業利益」はほとんどのDgSで完全に右肩下がりである。つまり、店の「稼ぐ力」が落ちているのに、店は増える一方というアンバランスな状況なのだ。
そこに“コロナ終焉”が追い打ちをかける可能性もある。マスクや消毒液、検査キットの需要が急減することは想像に難くないが、問題はそれだけではない。近年各社が注力してきた食品の販売についても、大きな影響を受ける可能性がある。
DgSの食品は、フード&ドラッグを標榜し食品の存在が来店動機を生んでいるような企業もある。しかし、とくにコロナ禍では、“ついで買い”に支えられてきたところが大きく、ワンストップショッピングのニーズが高まったことが追い風になった。しかしコロナの終焉とともにDgSへの来店頻度が低下すれば、必然的に食品の売上も低迷し、全体売上にも大きく作用することになる。
こうした経営環境の変化は、合従連衡の動きを呼び寄せることになる。もっとも、すでに国内DgS業界では、大手が中小をM&A(合併・買収)することで拡大を図っていくという動きは一巡している。こうなると、あとは大手同士の合従連衡のフェーズに入ることになり、2021年のマツキヨココカラ&カンパニー(東京都)の発足は、その号砲だったともいえる。

そして、同社の足元の業績、とくに利益面は非常に好調であり、23年3月期の第2四半期終了時点で営業利益率は6.1%、経常利益率は6.6%で、業界トップクラスの水準である。この事実は、同業他社に対してM&Aのメリットを端的に伝えることになり、遠からず大手同士の合従連衡の呼び水になりうるだろう。
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