実は安全、独自料理も!「手抜き料理」こそ価値がある理由

未来調達研究所:坂口孝則
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「手抜き」こそが価値になる時代

 以前、私がコメンテーターを務めていたテレビ番組で、「『手抜き料理』についてどう思いますか?」と街頭インタビューをする場面があった。冷凍食品や前日の残り物を食卓に出すことを「手抜き」としたらしい。制作側の絶望的なセンスの古さを感じてしまった。

 冷凍餃子を出した女性が、配偶者の男性から「手抜きだ」と批判されたというSNSでの投稿が話題になったこともある。この場合、「冷凍餃子=手抜き」に加え、「女性=料理するべき」という潜在意識も垣間見え、二重の意味で時代錯誤だろう。

 共働き世帯がほとんどといってもよい今日、日々の料理で「うまく手を抜く」ことこそ称賛されるべきだ。旧来の価値観はアップデートしなければならない。

 他方、足元の消費環境に目を向けると、「カネもなければ暇もない」という残念な事実も見えてくる。物価上昇率に対して実質賃金の上昇率は追いついておらず、その差分、消費者は貧しくなっているともいえる。コロナ収束により外食需要は復調傾向にあるが、外食への支出を抑えざるを得ない消費者は少なくない。

 一方で、在宅勤務から出社勤務に回帰するなか、コロナ禍のように「時間をかけて料理する」といった時間的余裕もない。支出も時間も抑えることを考えれば、冷凍食品やレトルト食品など、時短・簡便食品にあらためて注目が集まるのは自然な流れである。

冷凍食品コーナー
料理で“手を抜く”ことにはさまざまな付加価値があり、それを売り手はもっとアピールする必要がある。
写真はイメージです

レシピ提案がカギに

 最近、筆者も愛用しているのが、

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