ロピア、オーケーで揺れる関西スーパー業界!知られざる強者「万代」の強さの秘密とは

雪元 史章 (ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長)
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“自主独立”を貫き成長続ける

 ではなぜここに来て、「万代の強さ」に言及する関係者が増えているのだろうか。その背景にあるポイントとしては、①万代を取り巻く外部環境の変化と、②万代内部で起きている変化の2つが存在する。

 まず①については具体的に、関西の食品小売市場における競争環境の変化である。とくに大きなターニングポイントの1つとなったのは、精肉をはじめとする生鮮食品の品質と安さを武器に、首都圏で圧倒的な存在感を放っていたロピア(神奈川県/髙木勇輔代表)の進出だ。同社が「寝屋川島忠ホームズ店」(大阪府寝屋川市)をオープンして関西に上陸したのは20年9月のこと。その後、兵庫県、京都府、奈良県でも出店を重ね、現在は計13店舗を関西に有する。直近では九州や台湾など新規エリアへの進出が注目されがちだが、ロピアにとって関西は今や、地盤の首都圏に次ぐ規模の事業エリアになっているのである。

 さらには、同じく首都圏で強い集客力を持つオーケー(神奈川県/二宮涼太郎社長)の進出も間近に控える。同社はエイチ・ツー・オー リテイリング(大阪府/荒木直也社長:以下、H2O)との関西スーパーマーケット(兵庫県/福谷耕治社長)をめぐる争奪戦に敗れたものの、22年に大阪府東大阪市の土地を取得、24年をめどに自力で出店することを明らかにしている。

 また、食品強化型のドラッグストアやディスカウントストアの他地域からの参入もここ数年で急加速。地場のSMが乱立しつつ切磋琢磨していた時代は終えんを迎え、関西の食品小売市場は熾烈な競争に突入している。

 そうしたなか、前出のH2Oや、イオン(千葉県/吉田昭夫社長)など大手流通グループを軸とした合従連衡の動きが関西地盤のSMでも加速。相対的に、“自主独立”路線を貫きながらマーケットシェアを維持・拡大するライフや万代の存在が際立った。なかでも、関西に特化して成長を続ける万代の経営戦略や、その強さの源泉に関心が向けられているというわけだ。

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記事執筆者

雪元 史章 / ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長

上智大学外国語学部(スペイン語専攻)卒業後、運輸・交通系の出版社を経て2016年ダイヤモンド・フリードマン社(現 ダイヤモンド・リテイルメディア)入社。企業特集(直近では大創産業、クスリのアオキ、トライアルカンパニー、万代など)、エリア調査・ストアコンパリゾン、ドラッグストアの食品戦略、海外小売市場などを主に担当。趣味は無計画な旅行、サウナ、キャンプ。好きな食べ物はケバブとスペイン料理。全都道府県を2回以上訪問(宿泊)。

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