売場、商品、衣食住、DXそして地域共創!平和堂が行う全方位改革の全貌とは

森本 守人 (サテライトスコープ代表)
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企業変革の強い意志、設備投資に表れ

 「地域密着ライフスタイル総合(創造)企業」をめざす平和堂の戦略に話を戻すと、重要なキーとなっているのは「地域共創」というテーマだ。

 事業展開する同社の商勢圏の各地ではさまざまな問題が生じている。人口減少、高齢化、高齢者増加による需要減、域外への消費流出、またさまざまな分野での後継者不足による生産能力の低下、雇用需給のアンマッチなど。

 これに対し、地域や行政、企業、関連団体などと連携、観光客誘致やスポーツ・文化の支援、また移住定住支援などによって経済を活性化。これにより雇用や消費、また域内所得の向上を実現させ、ひいては平和堂の売上高、利益に結びつけようというのが「地域共創」のねらいである。

 ここで思い出されるのは、冒頭に紹介した平和堂の「奉仕と創造」の精神である。

 近年、同社では「強いショップ」の集合体をつくることを主眼に衣料品や住居関連売場の本格的な改革を進めるとともに、30~40代の取り込みを図る価格政策の見直し、また市場深耕のための新フォーマット「SX店」の開発など、新たな取り組みに次々とチャレンジしている。その1つがデジタル・トランスフォーメーション(DX)の推進。顧客体験と従業員体験の両面からDXを進め、前者ではとくにデータサイエンスの領域に踏み込み、One to Oneマーケティングの構築をめざしている。

平和堂の衣類売場
衣料品や住居関連売場を改革するほか、新フォーマットの開発など、新たな取り組みに次々とチャレンジしている

 企業を変革する強い意志は近年の設備投資額(連結ベース)にも表れている。22年2月期は93億円だったが、23年2月期は175億円、24年2月期は248億円を計画しており積極的だ。24年2月期に関しては今年6月から稼働開始する新デリカセンター関連の投資が大きく、ここでは最新の炊飯設備の導入に加え、ベーカリーの製造もセンターで行うなど、強みの総菜に磨きをかける。

 顧客とのコミュニケーションも工夫する。地元、滋賀県のアーティストである西川貴教さんに、各店で流れるテーマソング「かけっことびっこ」を歌ってもらったり、「平和堂特命GM」として商品や平和堂の活動をPRしてもらったりと、斬新な施策を行う。

地元、滋賀県のアーティストである西川貴教さんと
地元、滋賀県のアーティストである西川貴教さんが「平和堂特命GM」に就任、商品や平和堂の活動をPRしてもらうなど斬新な取り組みを行う(写真提供:平和堂)

 だがそれらの根幹にあるのは、「地域共創」のねらいからもわかるように、あくまで人々や地域の役に立って初めて自社が利を得ようとする姿勢だ。まさに「奉仕と創造」を実践するもので、さらに言えば「三方よし」で知られる近江商人の考え方に通じるものである。

 本特集は、平松正嗣社長インタビューに始まり、DX戦略、大型店改革、差異化進める食品改革、進化するフォーマット、地域共創・経済圏・循環型経済への挑戦と、平和堂の全方位改革すべてに切り込んだ。

 「奉仕と創造」、そして近江商人の精神を持ちながら、次代にも通用するビジネスに向かい、一気に改革のアクセルを踏み込んでいるのが、現在の平和堂だ。これは、地域に根差す小売業のロールモデルの1つといえるのではないだろうか。

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記事執筆者

森本 守人 / サテライトスコープ代表

 京都市出身。大手食品メーカーの営業マンとして社会人デビューを果たした後、パン職人、ミュージシャン、会社役員などを経てフリーの文筆家となる。「競争力を生む戦略、組織」をテーマに、流通、製造など、おもにビジネス分野を取材。文筆業以外では政府公認カメラマンとしてゴルバチョフ氏を撮影する。サテライトスコープ代表。「当コーナーは、京都の魅力を体験型レポートで発信します」。

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