コロナ禍でスーパー・コンビニのスイーツに商機あり! 「バスチー」超え狙うローソンに学ぶ、名物商品開発

大宮 弓絵 (ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長)
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消費者心理を捉えた
「ベーシック」×「新規性」

 前出のモンテールの調査では、「コロナ禍で重視するようになった『スイーツを選ぶ基準』」についても質問している。その結果、上位3項目は「おいしいと知っているもの(46.1%)」「価格の安いもの(27.7%)」「新商品のもの(13.6%)」(N=2400、複数回答)。自身がすでに知っていて確実においしいものを買いたい人が多い一方で、「新しい商品に挑戦したい」という消費者心理も存在していることがわかる。

 こうした傾向を受けてローソンが現在、スイーツ開発のテーマに掲げているのが、「馴染みのあるメニュー・素材」に「ローソン(コンビニ)らしさ」を加えた商品の開発だ。

「ホットケーキシュー」は、ホットケーキとシュークリームが同時に楽しめるようなユニークな商品設計が特徴だ
「ホットケーキシュー」は、ホットケーキとシュークリームが同時に楽しめるようなユニークな商品設計が特徴だ

 今回発売した商品を見ると、シュー生地のなかにホットケーキが入った「ホットケーキシュー」(220円)、“どら焼き”と“ショートケーキ”を組み合わせた和洋折衷スイーツ「どらショート 苺果肉ソース入り」(255円)など、いずれもベースはよく知られたスイーツメニューで、そこに新規性を加えていることがわかる。

 一大ヒット商品に育成したいという「生ガトーショコラ」は、本来はお皿に添えられている生クリームをケーキの上層部に注ぎ込み、フォークを使わずに食べられる手軽さ・ユニークな形状が特徴。クーベルチュールチョコを使用し、湯煎焼きにすることで「ホロホロ」「しっとり」した本格的な味・食感にもこだわった。

「バスチー」を超えるヒット商品をめざすという「生ガトーショコラ」
「バスチー」を超えるヒット商品をめざすという「生ガトーショコラ」

 近年、食品スーパーでも店内調理のスイーツ開発が加速しているが、プリンやシュークリームといった基本的な商品が多く、同質化しているとも言える。

 そうしたなか、ベーシック商品でありながら形状や名前、さらには異なるメニューを組み合わせるといったローソンのスイーツのユニーク性は、商品開発のうえで多くのヒントやアイデアを与えてくれそうだ。

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記事執筆者

大宮 弓絵 / ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長

1986年生まれ。福井県芦原温泉出身。同志社女子大学卒業後、東海地方のケーブルテレビ局でキャスターとして勤務。その後、『ダイヤモンド・チェーンストア』の編集記者に転身。最近の担当特集は、コンビニ、生協・食品EC、物流など。ウェビナーや業界イベントの司会、コーディネーターも務める。2022年より食品小売業界の優れたサステナビリティ施策を表彰する「サステナブル・リテイリング表彰」を立ち上げるなど、情報を通じて業界の活性化に貢献することをめざす。グロービス経営大学院 経営学修士

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