SHEINの秘密、「多品種少量生産」を可能にする広東スマートサプライチェーン網とは?

菊谷信宏
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多品種少量生産を実現するサプライチェーンの秘密

 シーインのユニークな点は、サプライヤー選定の際、超大型工場を好まず中小規模の繊維工場と多数契約し、「大量生産」ではなく「多品種少量生産」を前提としたサプライチェーンを構築している点である。すべての工場は先端テクノロジーが導入され、多品種少量生産を実現するためのスマートファクトリー化が完徹されている。

 各々の工場はクルマで1時間程度の距離に効果的に配置されており、全体で融合された「ファッションサプライチェーン」が構築されているのである。シーインの製造サイクルは、受注してから製品納品まで5日、長くても1週間といわれており、最も製造サイクルが早いとされる「ZARA」の14日間と比較しても、圧倒的な効率性を実現しているそうだ。

 構想当初、参加するサプライヤーから「少量生産で本当に採算が取れるのか」という懐疑の声が強かったという。これに対しシーインは、現在は個性が重要視される時代に突入しており多品種少量生産の重要性が今後ますます高まっていくことを説き、インセンティブとして商習慣となっている支払期日90日を30日以下に短縮するなどの条件を示すことで、Win-Winのモデルを構築したのである。各工場で製造された個別製品は広東省内にある佛山(フォーシャン)の巨大物流センターで管理され、世界各国に商品配送されているという。

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