ドラッグストアの針路 #8 イオン主導によるドラッグストア再編の可能性

森田俊一(流通ジャーナリスト)
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有力ドラッグストアチェーンへの資本参加やM&A(買収・合併)など、イオン(千葉県)がドラッグストア業界での存在感を強めている。ウエルシアホールディングス(東京都)、ツルハホールディングス(北海道)と業界1、2位を傘下に収める同社。イオン主導によるドラッグストアの再編はありえるのだろうか。
HD=ホールディングス

ウエルシア

「いずれ統合」も今は昔か

 「大手2社は(統合の)気配さえない」

 そう話すのは、あるドラッグストア企業の幹部だ。2社とは、イオン子会社のウエルシアHDとイオンが株式の13.06%を握るツルハHDのことだ。

 かつては「いずれ統合まで発展するのではないか」と言われ、経営統合が既定路線とみられていた両社だが、そんな観測も今では怪しい。両社は同業のM&A(合併・買収)合戦を繰り広げ、競うように積極出店している。売上高はほぼ互角ではあるものの、両社の“距離”は開くばかりだ。「当面はないんじゃないの。だって今はイオンを介して繋がっているだけでしょ」と別のドラッグストア幹部も冷めた見方だ。

 ウエルシアHDの売上高は1兆円に“王手”の状態で、ツルハHDも1兆円を射程圏にとらえている。1兆円規模の巨大企業同士が経営統合しても、「どちらが主導権を握るのか」という問題が浮上するのは間違いない。ある経営コンサルタントは、「(対等に)統合したとしても、経営がうまく回っていくとは限らない。それは、ほかの業界のいくつかの経営統合をみても明らか。いまは業界全体が伸びているのだから、統合は考えていないのではないか」と指摘する。

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