年間2ケタ以上のNSCを開業!地域密着の商業集積めざす=イオンタウン 大門 淳 社長

聞き手:下田健司
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来店動機となる「何か」が必要

──日本では少子高齢化や人口減少が進み、小売業の商環境は厳しさを増しています。人口減少が顕著な地方の事業環境をどのようにみていますか。

大門 人口減少や高齢化にどう対応するのかは当社にとって大きな課題です。

 ほとんどの地方都市はこの2つの問題を抱えています。

 地方では毎年数%ずつ人口が減っていくわけですから、極端なことをいえば数十年後には人口は半分になってしまうかもしれません。とくに県庁所在地以外の都市の人口減少が進んでいます。それに加えて高齢化も進んでいます。高齢者の方は今後、広い商業施設内を隅々まで歩いて買物することができなくなったり、自らクルマを運転して買物に出かけることが困難になってしまう可能性があります。

 その結果、地方のSM企業のなかには営業の継続が困難になる店舗も出てくるでしょう。じわりと人口減少が進み、ハッと気がついた時にはもう遅いという状況になっているかもしれません。

 では、少子高齢化や人口減少にどう対応していくのか。より広域から集客を図るのか、商圏内のシェアを高めていくのか、敷地を拡大するのか、それとも建物をスクラップ&ビルドするのか、ほかの場所へ移転するのか、当社としてもさまざまな対策を想定することができます。高齢化についても、シニア層のニーズを汲み取ったテナント構成が求められます。

 その意味から、今後、5年、10年、20年先まで存続できるのかという視点で、全NSCを根底から見直すことをここ数年でやっていく必要があると考えています。

──NSCの核店舗であるSMやDSはオーバーストア化が進んでいます。NSCとして競合と差別化を図らなければ集客力が低下してしまいます。

大門 そうです。SMやDSのオーバーストア化に加えて、インターネット通販をはじめとした無店舗小売業の市場が急拡大しています。ですから、来店動機となる「何か」がNSCにないと客数の伸びは望めません。

 基本的には、その地域で必要とされる魅力的な専門店を集める《店揃え》が重要になります。そのうえで「お店に行く価値とは何か?」「来店する目的は何なのか?」を突き詰めて考え、NSCに盛り込んでいかなければなりません。それは《癒やし》だったり《集い》なのかもしれません。はっきりいえるのは、従来型の単なる物販やサービスの提供だけでは今後は生き残ることが難しいということです。

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