顧客分析とプロセスセンター駆使する合理的スーパー、オギノがセルフレジを導入しない理由

聞き手=「ダイヤモンド・チェーンストア」編集長 阿部幸治 構成=太田美和子(リテイルライター)
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山梨県内を中心に食品スーパー(SM)やショッピングセンター(SC)を49店展開するオギノは、1990年代から生鮮加工におけるプロセスセンター(PC)活用、またフリークエント・ショッパーズ・プログラム(FSP)の研究を開始するなど、先進的にオペレーションの作業効率化とデータ分析による顧客への提案強化に取り組んできた。今後、消費のさらなる冷え込みが予測される今、同社はいかなる手を打っているのか。荻野寛二社長に聞いた。

巣ごもり期間の長期化で「しっかり手作り派」が増加

──新型コロナウイルス(コロナ)感染拡大の影響によりSM各社は総じて売上が伸びています。オギノの利用動向はいかがですか。

オギノ代表取締役社長 荻野 寛二 氏
おぎの・かんじ●1952年生まれ。75年早稲田大学法学部卒業、カネボウ化粧品入社。78年オギノ入社。79年すかいらーく入社。81年オギノ入社。91年取締役就任。93年常務取締役就任。97年代表取締役社長就任。

荻野 当社ではFSPで得た顧客データをもとに、買物傾向のクラスター分析を行っています。分類方法は複数あり、たとえば、顧客クラスターを「しっかり手作り派」「簡単手作り派」「簡便派」「即食派」の大きく4つに分類する方法などを用いています。

 4~5月頃は、手間をかけないで調理を済ませる「簡単手作り派」のお客さまの構成比が高かったのですが、巣ごもり期間が長引くにつれ「しっかり手作り派」が増えているのが特徴です。一方で、レトルト食品や冷凍食品を多く利用される「簡便派」もコロナ禍で増加しました。

 業績は、その他のSM企業同様に、とくに4~5月をピークにお客さまの買い上げ点数が増え、同期間の既存店売上高は対前年同期比110%と伸長しました。

 3~9月間のカテゴリー別でみると、食品と住居関連品が同1 0 9 %、衣料が同85%、全体では同107%となりました。

──コロナ禍の影響は長期化し、価格競争はますます厳しくなると予想されます。

荻野 山梨県は観光業とその関連産業のほか、自動車関連などの製造業に従事している人が多いです。これらの産業が回復するに至っていませんから、財布の紐はさらに固くなるでしょう。安さと買いやすさはますます重要になると思います。

 当社では、価格競争に対する準備は数年前から進めてきました。たとえば、加盟するシジシージャパン(東京都/堀内要助社長:以下、CGC)のプライベートブランド商品や、CGCグループのスケールメリットを生かして仕入れるナショナルブランド商品を、ベーシックなカテゴリーに必ず組み込み、価格訴求を図っています。

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