増収増益が続く「物語コーポレーション」、席数を減らす“減卓投資”がなぜ効果的なのか?

2020/01/20 06:00
ダイヤモンド・リテイルメディア 流通マーケティング局

外食企業のなかで、ひときわ注目を浴びる企業がある。1969年設立、焼き肉店やラーメン店などの飲食店を展開する物語コーポレーションだ。厳しい消費環境のなか、19年は2ケタ増収増益で、社内制度、人材育成など外部から評価されるポイントが多くある。人手不足や生産性が課題となる同業界で、同社が好調な理由を探った。

物語コーポレーションサイトイメージ
低い離職率、個を尊重する仕組み等により、業績好調で推移する物語コーポレーション


社員、パートナー、FC店舗の声を汲み取る制度

 物語コーポレーション(愛知県/加治幸夫社長)の内部通報窓口「物語ヘルプライン」が、2019年11月22日付で消費者庁所管の「内部通報制度認証 自己適合宣言登録 制度、「WCMS認証」」に、外食業界として初めて登録された。
「内部通報制度認証(自己適合宣言登録制度)」は、企業の内部通報制度が、内部統制およびコーポレートガバナンスの重要な要素であることから、優れた内部通報制度を整備・運用する企業を高く評価するために消費者庁が導入した制度。
「物語ヘルプライン」は2008年5月に社内の通報窓口としてスタートし、13年1月から外部の第三者機関に窓口を移設。17年には、同社のフランチャイズ(FC)加盟企業に従事する従業員にも対象を拡大した。現在、社員およびパートナー(アルバイト、パート)、FC店舗従業員などからの、法令・社内ルール違反、ハラスメント、職場環境などの通報、相談を受け付けている。
 また、10月15日には、任意団体「work with Pride」が策定する、企業・団体などにおけるLGBTなどのセクシャルマイノリティに関する取り組みの評価指標「PRIDE指標2019」において、最高評価である「ゴールド」を受賞した。同社では、LGBTに配慮した「ライフパートナーシップ制度」を導入、同性カップルに証明書を発行し、結婚祝い金や配偶者手当などを付与している。

働きやすい環境をつくり、若者が離職しにくい企業へ

 同社の強さを明らかにした『物語コーポレーションものがたり』(西川幸孝著、日本経済新聞出版社)の副題に「若者が辞めない外食企業」とつけられているように、物語コーポレーションは離職率の低い外食企業としてよく知られている。
 雇用動向調査(厚生労働省)によれば、2011年から17年の離職率の単純平均は、「宿泊業、飲食サービス業」が29.3%、「調査産業計(全産業)」15.0%となっているのに対し、同期間の同社の離職率は13.3%にとどまっている。直近でいえば、18年の「宿泊業、飲食サービス業」26.9%に対し、同社では15.6%(19年4月)だ。
 採用に関しては、17年4月時の新卒採用134名(うち、日本人とは文化的な背景も異なるインターナショナル社員28名)、18年4月133名(同28名)、19年4月118名(同29名)という実績を残している。
 政府が主導する「働き方改革」に呼応するかたちで、このところ、外食大手では「年末年始の時短」(すかいらーく)、「おおみそか・元日を連休」(ロイヤルホスト)を導入し始めたが、物語コーポレーションの場合、1989年以来、大みそかと元日は全店休業(直営店)であるし、2015年からはレインボー休暇と呼ばれる、連続7日の休暇を年1回取得できる制度を実施、しかも取得率は100%に近い(18年は99.4%)。

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