増収増益が続く「物語コーポレーション」、席数を減らす“減卓投資”がなぜ効果的なのか?

2020/01/20 06:00
ダイヤモンド・リテイルメディア 流通マーケティング局

数を増やすのではなく、効率性を増す「減卓投資」とは?

 FC事業についての考え方も、同社ならではのものがある。
 同社のFC事業は、1998年に焼肉事業からスタートしたが、FC加盟企業になるための基本的条件が設けられている。

第一、スマイル&セクシーに代表される経営理念に賛同すること。
第二、店舗を増やしていくことが、人材が育つための前提であり、直接的にはFC社員に教育を行っていくことも求められる。
第三、徹底した情報開示は、FC本部も行うが、FC加盟企業にも求められる。さらにコミュニケーションに支障を来さないためのクイックレスポンスも必要になる。

 日々の売上高、原価率、人件費、坪当たり売上高、席数当たり売上高、人時生産性、平日・週末別の売上高などすべてが、直営店、FC加盟店の区別なく、順位とともに開示される。そうすることで、店舗ごとの改善すべきポイントも明確になり、改善に向けた取り組みも進みやすい。
 特徴的な動きが「減卓投資」だ。わざわざお金をかけて卓数・席数を減らす投資を行うことで、効率性が増すことによって経費の削減につながる一方、売上はほとんど落ちないか、場合によって上がることもあるといった、効果が確認できている。直営店から始めたものだが、すでにFC焼肉店2店舗でも実施されている。店舗の改善に関しては、優れたFC店舗に学んで、それを事業部全体の参考にしていくこともある。
 FC加盟企業数に目標を設定することはない。増やすことを目標にすると、FC事業の考え方にも反するため、バランスをとりながらむしろ数を抑制している。
 その結果が、直営290店舗、FC223店舗(2019年11月末)というバランスになっているのだろう。

実績の公表は、FCシステムが回っている証

 同社ではFC加盟企業について詳細を明らかにすることはないが、加盟企業のほうから実績を公表することもある。
 紳士服販売チェーン大手の青山商事は、「洋服の青山」の店舗敷地内の余剰地を有効活用するために、2011年に100%連結子会社としてglobを設立。物語コーポレーションのFCとして、「焼き肉きんぐ」(19年10月末時点35店舗)、「ゆず庵」(同、11店舗)を展開していることを明らかにしている。
 決算説明資料においても、19年3月期の既存店実績は「前期比0.8%増」だったこと、20年3月期上期では「既存店の上期実績は0.8%増。下期は1.4%増を計画し、通期1.1%増を見込んでいること。好調な焼肉きんぐを主体に出店を拡大し、売上100億円をめざす」としている。そもそも、上場企業として、連結子会社のここまでの情報を開示する必要はないが、それだけ業績の進捗に手ごたえを感じているということだろう。
 もちろん、この事例のみで断定はできない。しかし、物語コーポレーションのFCシステムが、「フランチャイザー(運営本部)」、「フランチャイジー(加盟店)」のいずれにおいても、うまく機能している証と言ってもさしつかえないだろう。
 物語コーポレーションの2020年6月期は、売上高前期比12.6%増の663億円、営業利益は同28.8%増の50億円、経常利益は同8.8%増の51億円を見込み、15期連続増収増益を計画する。また、新・中期経営計画「ビジョン2025」においては、2025年6月期の連結売上高1000億円、FC店舗を含めたグループ店舗売上高1500億円、20期連続の増収増益を目標としている。

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