第4回:クラウドサービスを使ってみよう

解説:ロケスタ代表:長谷川秀樹
文:高浦佑介 (ダイヤモンド・ホームセンター編集長)
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“お抱えベンダー”に頼りながら、オンプレミス(自社で情報システムを保有し、運営している)型の運用形態をとっている企業は、小売業界に限らず多い。しかし、今はクラウドの時代。少しずつ、クラウドサービスを試してみよう。

クラウドサービスイメージ
ここ最近は、手軽に使える、UIUXに優れたものが出てきている。i-stock/TCmake_photo

オンプレミスの時代は終わり

 はっきり言うと、オンプレミスがクラウドに勝っている点は1つもありません。初期費用・維持費用を含めた価格、利便性、セキュリティ。すべての面でクラウドの方が勝っています。オンプレミスの利点をしいて挙げるなら、自分の手元に目に見えるデータセンターを置くことができるという、「意味のない安心感」が得られることくらいでしょうか。トラブルがあったとき、手元にあるからといって、何かできるわけではありません。

 とくにここ最近は、手軽に使える、UI(ユーザーインターフェース)、UX(ユーザーエクスペリエンス)に優れたものが出てきています。なぜなら、今はインターネットの時代で、世界中のたくさんの人が同じサービスを使うことで、どんどん使いやすいように改善されながら、ライセンス費用が下がっていく、という現象が起きているからです。

 今はPCだけでなく、スマホからでも使いやすいサービスが増えています。一昔前までは、操作マニュアルがあって、それを読み解いて利用するというタイプが主流でした。しかし、今は、スマホアプリのように、操作マニュアルがなく、直感的に使い方がわかるようなサービスが業務システムなどで増えています。

 また、使っているサービスの機能が勝手に拡充していくのも、クラウドならではの特徴でしょう。世界中の利用者が改善のリクエストをしており、リクエストの多い機能がどんどんアップデートされていきます。

 クラウドいいですよ、とオススメしたときによく返ってくる言い訳の1つが、「うちは業務が特殊で」というのがあります。しかし、少なくともバックオフィス系はどの企業でも大差がないので、クラウド上の業務アプリケーションであるSaaS(サービスとしてのソフトウエア)一択です。企業の効率性が落ちるということは絶対にありません。

 バックオフィス系で使いやすいSaaSの一例を挙げると、人事・労務系では「Smart HR(スマートHR)」、採用系では採用管理プラットフォームの「HERP ATS」、会計では、「freee(フリー)」や「マネーフォワードクラウド」などがあります。少し毛色の変わったものでは、国内初の組織改善クラウド「モチベーションクラウド」といったものもあります。

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高浦佑介 / ダイヤモンド・ホームセンター編集長

2010年東京大学文学部卒業、12年同大学院修士課程(社会心理学)修了。14年ダイヤモンド・リテイルメディア入社。『ダイヤモンド・チェーンストア』誌の編集・記者を経て、19年4月より現職。

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