沖縄でマルチフォーマットで成長する食品スーパー

2019/04/19 05:00
ダイヤモンド・チェーンストア編集部

未曾有の好景気が続く沖縄市場をめがけて、本土の企業が続々と出店を果たし、沖縄小売マーケットは激戦の様相を呈している。そうしたなか、“ローカル”に徹して生鮮を磨き、新たなフォーマットも構築しながら、独自の成長戦略を実行する企業がある。金秀商事(沖縄県/中地健社長)だ。

金秀商事の「いちゅまん市場」
金秀商事の「いちゅまん市場」

自己流から脱皮し国内企業の成功事例を導入

 建設事業、アルミ工業、リゾート開発、そして小売事業と、沖縄県を代表するコングロマリットである金秀グループ。そのなか、グループ最大の売上高約656億円(17年度)を誇るのが、食品スーパーとリゾートホテルを手がける金秀商事である。

 今から約30年前に同社前身企業の子会社が食品スーパーを出店したことを皮切りに、業容を拡大。現在は県内に食品スーパーを59店舗、都市型小型店2店舗などを展開する。

 沖縄食品市場は、総合スーパーと食品スーパーを展開するサンエー(上地哲誠社長)が売上高1745億円で首位、次いで総合スーパーと食品スーパー、ディスカウントストアのザ・ビッグを展開するイオン琉球(佐方圭二社長)が835億円で2位、そして3位の沖縄ファミリーマート(野﨑真人社長)に次いで第4位の地位を金秀商事は占める。

 金秀商事の食品スーパー250坪程度が標準。食品スーパーとしてオーソドックスな店づくりを行ってきたが、競争が激化するなかで、特徴ある店づくりへの転換を模索してきた。「これまで、自己流で成功体験を積み重ねてきたが、品質管理への対応など、徐々に自己流では対応しきれなくなってきた」と中地社長は当時を振り返る。そこで、国内大手食品スーパー企業の先進的な品質管理技術を学ぶべく、2007年にCGCに加盟。様々な企業と交流を持ちながら、自社の方向性を明確化していった。

 転機となったのは2009年。生鮮強化型で賑わい感と地域密着を訴求とする「市場」タイプの店を開発したのだ。以降、既存店の改装による転換と新規出店で市場タイプの店数を順次増やしている。

鮮魚と精肉各部門がインストアで製造する総菜は同店で5店舗目。いちゅまん市場の場合は、鮮魚売場と精肉売場の間の平台で展開している。
鮮魚と精肉各部門がインストアで製造する総菜は同店で5店舗目。いちゅまん市場の場合は、鮮魚売場と精肉売場の間の平台で展開している

金秀商事の勝ちパターン“市場”スタイル店舗とは

 市場タイプの店作りとはいかなるものか。18年10月に改装オープンした沖縄県糸満市にある「いちゅまん市場」を例に解説していく。周辺は、サンエーの食品スーパー2店舗、ショッピングセンター1店舗、マックスバリュ1店舗がある競争激戦区。そのなか、20年ほど前にオープンしたこの店は、5年前にショッピングセンター内に自社グループ運営のカインズがオープンしたこともあり安定した集客を続けてきた。この度、さらなる競争力強化を目的に改装したものだ。

 まず内外装は、糸満市で盛んなあるハーレー(爬龍船による競漕)をデザインモチーフに採用している。ここからわかる通り、内外装のデザインイメージは地域特性に応じて、各店で異なるのが特徴だ。

 売場は同社標準規模の300坪。コンパクトながら通路幅を広くとり、カートですれ違える中通路も設けて回遊性を高め、定番回転率を高めている。品揃えは1万sku程度で、ショッピングセンター敷地内にホームセンターやドラッグストアが入居するなか、単店でのワンストップショッピング性を重視し、非食品まで一通り取り揃える。普段の食生活に密着した店舗ということで、オープンキッチンの鮮魚売場ではカウンターを設け、生魚を豊富に取り揃える。また、鮮魚部門が店内で製造する焼き魚などの総菜も精肉総菜と一緒に展開する。

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