人も金も時間も他社が嫌がる生鮮強化に!成果が今、実を結んでいる=タチヤ 森 克幸 社長

聞き手:千田 直哉 (編集局 局長)
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──お店を午後6時閉店にしている理由は、翌朝早くに仕入れに行く従業員の健康のため、という話を聞いています。

そうです。もう1つ理由があって、当社がターゲットにしているのは、食べ盛りのお子さんを抱えるお母さんだからです。お子さんが夕食を我慢できる限界が午 後7時だと思っています。そうすると6時に買物を終えて家に帰れば、7時には夕食の支度が整う。だったら6時閉店でよいのではないか、というのが私の考え 方です。

 一方でターゲットを単身赴任の方などにも広げていくと、アイテム数はどんどん増え、取り扱いカテゴリーも増え、営業時間も長くなります。その結果、ロスも増えてしまうのだと思います。

15店舗・200億円
経常利益率7%が1つのかたち

──さて、親会社であるバロー(岐阜県/田代正美社長)さんは御社のことをどのように評価していますか? また、バローさんのプライベートブランド(PB)の取り扱いについても教えてください。

バローの田代社長も、タチヤのよさは、毎週休日があって、午後6時閉店、店舗にお金をかけない、という点にあることをよく理解していただいています。そし て、それらのうちどれ1つが欠けてもタチヤは成り立たないから、「きちんと守っていくように」と言っていただいています。バローさんのPBは取り扱いして いますが、あまり多くはありません。必要なものだけ仕入れさせていただいている格好です。

──親会社に対しては、利益で貢献するという考えですか?

1つはそうですね。もう1つはIR(投資家向け広報活動)で親会社に貢献したいなと考えています。「子会社に、生鮮食品のDSでタチヤという高収益企業があります」と宣伝に使ってもらえればと思います。

──森社長は現在、同じバローグループで静岡県地盤のDS企業・食鮮館タイヨーの社長も兼務されています。タイヨーの状況はいかがですか?

タイヨーは今、この厳しい時代に既存店売上高対前期比がプラスです。青果で同15%増、鮮魚同10%増、精肉同3%増ぐらいです。しかも、全店で営業時間 を短くして、営業日数も減らしている中で、既存店売上高を伸ばしているのです。タチヤを見にきて、売場づくりを勉強するなど、見よう見まねでがむしゃらに 取り組んでいることが実を結んでいます。

 一方でモチベーションを高めるために、先行投資もしました。店長や幹部クラスのボーナスを倍にしたのです。もちろんバローの田代社長にも相談しましたが「全部任せたのだから、いちいち聞くな!」と言っていただきました(笑)。

──それはモチベーションが高まりますね。最後に、タチヤの今後の経営プランについて教えてください。

タチヤは、このやり方だとあと5店舗の新規出店まで。全体で15店舗体制、多くても20店舗体制が限界だと思います。逆に、あまり規模を大きくしていくの ではなくて、15店舗で売上高200億円、経常利益率7%がきちんと出る会社をつくり上げたい。それが出来上がれば、1つの節目かなという気がしていま す。

 その先の成長プランについては、県外ですとか、青果・精肉・鮮魚各部門ごとにテナントとして他のSMや商業施設などに出店していくなど、そんなことができないかなと考えています。

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聞き手

千田 直哉 / 株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア 編集局 局長

東京都生まれ。1992年ダイヤモンド・フリードマン社(現:ダイヤモンド・リテイルメディア)入社。『チェーンストアエイジ』誌編集記者、『ゼネラルマーチャンダイザー』誌副編集長、『ダイヤモンド ホームセンター』誌編集長を経て、2008年、『チェーンストアエイジ』誌編集長就任。2015年、『ダイヤモンド・ドラッグストア』誌編集長(兼任)就任。2016年、編集局局長就任(現任)。現在に至る。
※2015年4月、『チェーンストアエイジ』誌は『ダイヤモンド・チェーンストア』誌に誌名を変更。

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