社会構造転換の分水嶺の時代を「価格革命」で勝ち残る!=アークス 横山清 社長

聞き手:大木戸 歩
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──横山社長の考える「価格革命」の、現段階の達成度はどのくらいですか。

横山 緒に就いたばかりです。

 マルコム・グラッドウェルの著書に「ティッピング・ポイント」という言葉があります。要するに、何かのスキルを高めるために集中して継続していくと、あるとき、爆発的に成果が表れるというものです。

 小売業も、日々学びながら愚直に積み重ねていく。「大根売って30年」というのは、私が気に入っている言葉ですが、大根の特性とマーチャンダイジングについてはすべて熟知するというような、「大根売って30年」にならなくてはいけないと思っています。

キリンとサントリーの統合は驚き
「いいことだと思います」

──小売業が「価格革命」をめざす一方で、キリンホールディングス(東京都/加藤壹康社長)とサントリーホールディングス(大阪府/佐治信忠社長)の統合が発表され、大手メーカーの再編に、さらに拍車がかかりそうです。

横山 キリンとサントリーの再編には、驚きました。誰が見たって難しそうな統合を、やってしまおうというのですから、すごいことだと思います。

 メーカー再編の動きについては、景況感に加えて、バイイングパワーの問題もあると思います。メーカーと小売業の力関係というのは、かつてとは一変 していて、大手小売業が断然、価格決定権を持ち始めています。こうしたことも、メーカー再編を促進する要因だと思います。しかし、メーカーの再編は、いい ことだと思います。必ずやそのメリットが出てくるはずだからです。無駄を排除した効率のよい経営ができれば、その分、必ず社会に還元されるわけですから、 極めるとこまで極めてもらえばいいと思います。

──その一方で、小売業側の再編については、どう見ていますか。

横山 小売業界の10年前の決算を見ると、売上ナンバーワンはダイエーでした。そして、イオンとイトーヨーカ堂の3社で「3強」だったわけです。今は、上位5社 のうち、西友はウォルマートになってしまい、マイカルはイオン。ダイエーも実質的にはイオングループですから、イオンとセブン&アイの2社に集中している 格好です。しかしながら、これが業界のすべてであるとか、業界が大きく飛躍するためのベースをつくったとは思いません。

──アークスグループとして、北海道の10社で「八ヶ岳連峰経営」に取り組んでいます。

横山 SMについて言えば、一つひとつの企業規模が小さくても、商圏内の圧倒的なマーケットシェア、いわゆる「クリティカル・マス」を握ることで、大手にも十分対抗できると考えています。

 たとえば、1店舗当たり100億円売るような大型店が出てきたとしても、その周辺を1店舗で30億円売り上げる10店がまわりを取り巻いて、 300億円のシェアを持つほうが、強いと思います。さらに、300億円の企業が10社集まれば、3000億円になります。こうして集まれば、3兆円に並ぶ わけです。

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