自前のダークストア開始、ウォルトの戦略とは?、スーパー、コンビニとの提携続々

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ネットスーパー新時代

海外と比較して日本ではあまり普及していないといわれてきたフードデリバリー市場。しかし、新型コロナウイルス(コロナ)感染拡大を機に、「Uber Eats」や「出前館」などの大手を筆頭に、さまざまなプレーヤーが乱戦を繰り広げている。そんななか北欧・フィンランド発の「Wolt(ウォルト)」は、食品小売業との提携を加速させるほか、ダークストアを活用した独自の食品配達サービスにも着手するなど、新たな動きを見せている。

寒冷地での経験生かし、地方都市を早期に開拓

 2014年に創設された「Wolt(ウォルト)」は、欧州を中心に23カ国200都市以上で展開するデリバリーサービスだ。日本では、Wolt Japan(ウォルトジャパン:東京都)が20年3月に広島市でサービスを開始して以降、対象地域を22都道府県37エリアに拡大(21年12月時点)。全国6カ所に営業拠点を構える。

お店のスタッフから商品を受け取るウォルトの配達員
ここ最近で加速させているのが、「リテイル(小売)パートナー」との提携だ。今後もSM、CVS、DgS、百貨店を中心に提携をすすめていきたい考えだ
Wolt Japanリテール事業本部長の髙木慶太氏
Wolt Japanリテール事業本部長の髙木慶太氏 Photo:Shunichi Oda

 日本ではコロナ禍を機に、注文から30分ほどで商品が届く即時配達サービスが急拡大している。Wolt Japanリテール事業本部長の髙木慶太氏は「潜在していたニーズがコロナ禍で顕在化し、新しい買物手段としてユーザーの裾野が広がった」と振り返る。

 Woltも事業エリアを拡大している事情を差し引いても、利用者は右肩上がりで増え続けているという。髙木氏は「即時配達サービスへのニーズは不可逆的なものであり、アフターコロナの時代になってもその市場規模は大きく伸びる余地がある」との見解を示す。

 Woltの特徴は、デリバリー需要の大きい大都市ではなく地方都市からサービスを広げていった点だ。広島市や札幌市、仙台市など、Woltが競合のフードデリバリー企業に先駆けて参入した地方都市ではブランド認知度がとくに高い傾向があり、サービスの展開が先行している。また、冬には極寒の気候となる本国フィンランドでWoltが培ってきた効率的な配達オペレーションの仕組みやノウハウは、北海道や東北といった日本の寒冷地で優位性があるという。

問い合わせに1分以内で回答、利用者の継続率を高める

 Woltは、顧客満足度向上のために、同業他社ではあまりみられない施策に取り組んでいるのも特徴だ。まず、

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記事執筆者

ダイヤモンド・チェーンストア編集部 / 株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア

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