第37回 安易なコト消費の前に知っておきたい!これからの時代に「コトからモノへ」が大事な理由

西山貴仁(株式会社SC&パートナーズ 代表取締役)
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モノが売れる理由と、コトからモノへ

  もちろん「モノからコトへ」が正しい結果を生むことがある。これまで「『モノからコトへを疑え』と言っておいてそれはないだろう」と言う声も聞こえてきそうだが、本連載34回で、モノが売れるためには必ず先に「コト」があることを指摘した。

 テニスを始めたのでラケットを買う、料理のためにキッチン雑貨を買う、クリスマスにツリーを飾る、正月にお節を買う、孫が小学校に行くのでランドセルを買う、友人の誕生日にプレゼントを買うなど、これらすべてコトがあってモノが動く。コトがなくて動くモノがあるだろうか。

 だからモノを売りたければ、コトを捕まえればいい。電機メーカーがオリンピックを前に大型TVを売る、花粉症の季節を前に空気洗浄機を売る、もっと分かりやすいところでは母の日にはカーネーションを売り、バレンタインデーにはチョコレートを売る。これらは全てコトを捕まえた販売活動に他ならない。大谷翔平選手の活躍で大リーグに興味を持ち、藤井棋士が竜王となることで将棋を始める、その他、老後不安からNISAを始めるなど、我々の周りにはコトが溢れている。 

 ところが店頭では「今、一番売れている」「トレンド」「今年の色」「お似合いですよ」「皆さん買われていますよ」「店長のオススメ」など流行遅れを煽り、着飾ることを促し、他者との比較を前面に押し出して、われわれはモノを販売してきた。

 確かに過去には流行に遅れることに劣等感や焦りを感じたし、毎年変わるコートやブーツの丈が気になった。おかげでアパレルを例にとれば、年間24億着の洋服が供給され、15億着が余るわけだが、今はSDGsと環境保護が叫ばれ、消費者の価値観も大きく変わった。モデルチェンジを繰り返す車を買い換えずとも、ネットにつながりソフトウェアがアップデートされていく時代だ。

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