ビール商戦、過熱=10月の減税にらみ新商品続々

時事通信社
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7月11日に発売するビール「アサヒ食彩」を発表するアサヒビールの担当者
〔写真説明〕11日に発売するビール「アサヒ食彩」を発表するアサヒビールの担当者=5日、東京都千代田区(時事通信社)

 10月のビール減税を控え、大手4社が新商品を続々と投入している。国内市場の縮小傾向が続く中、各社はコロナ禍の影響緩和に減税が重なる今年を「ビールにとって数年に一度の重要な年」(大手担当者)と位置付ける。シェア争いが過熱しそうだ。

 ビールの税額は10月から350ミリリットル当たり6円65銭下がる。減税による秋の値下がりを見据え、各社は店頭価格が主力商品(350ミリ缶231円前後)より高めでも、ぜいたく感を味わえるビールを今から積極投入している。

 2022年の販売数量でキリンビールを抜き首位に立ったとみられるアサヒビールは5日、ふたを開けると泡立つ特殊な缶を使用した「アサヒ食彩」を11日から売り出すと発表した。価格は340ミリ缶で284円前後と強気の設定だが、「嗜好(しこう)品でぜいたくをする意識は続く」(担当者)とにらむ。サッポロビールは、札幌市内のビアホールでしか飲めない「サッポロファイブスター」を缶商品にして同日から数量限定発売する。

 キリンは6月から「スプリングバレー サマークラフトエール〈香〉」(350ミリ缶273円前後)を夏限定で発売。「減税に向け『スプリングバレー』の存在感を高める」(広報)と意気込む。  一方、サントリーは4月に投入した「サントリー生ビール」の販売が好調だ。350ミリ缶で218円前後の手頃さを売りに、今年の販売計画を300万ケース(1ケース12.66リットル換算)から400万ケースに上方修正。8月の音楽フェスでも販売し、コロナ禍からの人流回復を追い風にシェア拡大を狙う。

 ビール類の国内市場は、22年に業務用販売の増加で18年ぶりに前年を上回ったが、コロナ禍前の19年との比較では1割減の規模にとどまっている。 

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