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第162回

2018年1月15日

少子化でも成長の余地はある! 
西松屋チェーン 代表取締役社長 大村 禎史

DIAMOND Chain Store

ベビー・子供用品の専門店を全国展開する西松屋チェーン(兵庫県)。毎年、積極的な出店により、店舗網を拡大している。競争激化を受け、プライベートブランド(PB)の開発に力を入れており、競合との差別化を図っている。5年後をメドに売上高1800億円、経常利益率10%をめざす同社の成長戦略を大村禎史社長に聞いた。

聞き手=下田健司(本誌) 構成=森本守人(サテライトスコープ)


市場規模は2兆円、自社シェアを拡大する

おおむら・よしふみ●1955年2月7日生まれ。兵庫県出身。79年3月京都大学大学院工学研究科修士課程修了、4月山陽特殊製鋼入社。85年9月西松屋チェーン入社、取締役。90年4月専務取締役。96年5月代表取締役副社長。2000年5月代表取締役社長(現任)

──2017年度(18年2月期)も終盤に入っています。あらためて上半期をどのように振り返りますか。

 

大村 17年度上半期は売上高686億円(対前年同期比0.7%増)、営業利益34億円(同16.7%減)、経常利益35億円(同16.2%減)と増収減益でした。店舗数は、17店舗を新規出店する一方で、3店舗を閉鎖したことによって上半期末時点で922店舗となりました。

 

 商品部門別の売上高は、衣料部門では春物や初夏向けが出足で苦戦したものの、夏物のバーゲンセールにより大きく伸長しました。育児用品部門では、おしりふき、手・口ふきといったPBを含む消耗品が堅調に推移しました。ただ、16年末あたりから消費に勢いがなくなってきていることに加え、競争激化が強まってきています。この2年ほどは増収増益基調に戻りつつありましたから、気を引き締めているところです。

 

──下半期に入ってからはいかがですか。

 

大村 消費低迷、競争激化の傾向に変わりはなく、前年実績を割り込む月が増えています。価格を引き下げることで販売量を増やし、在庫を削減する努力をしているところです。

 

──少子高齢化、人口減少が進行しています。ベビー・子供用品を販売する小売業として、市場環境をどう見ていますか。

 

大村 国内の出生数は1949年の第一次ベビーブーム期では約270万人、71~74年の第二次は約210万人でしたが、その後、緩やかに減少し、2015年は約100万人となっています。

 

 以前と比べると大幅に減ってはいるものの、ベビー・子供用品の市場規模は、衣料だけでも1兆円、育児用品を含めると2兆円です。それがこれから数年で半分になることは考えにくいでしょう。当社の年商は17年2月期実績で1362億円ですから、マーケットの大きさからすれば開拓余地はあります。さらにシェアを拡大することで業績を伸ばせると考えています。

 

──業績拡大のために重点を置いている施策は何ですか。

 

大村 PB開発です。競争が激化していくと価格での戦いに陥りますから、そうならないように、ほかの店では買えない独自の商品を持つことが必要です。価格面だけでなく、品質面でも優位性がある、使う側に立った魅力的な商品を増やそうとしています。

 

──従来もPBはありましたが、それとは違うのですか。

 

大村 かつてはベンダーさまに商品開発を任せ、それにブランドをつけた商品をPBと称して販売していました。今、力を入れているのは、商品の企画から始まり、品質、数量、納期管理までをトータルでコントロールするPBで、従来のPBとは大きく異なります。そのため社内では本格的なPBの開発と呼んでいます。

 

メーカー技術者を採用、PBシェア5割が目標

──PBはどのような体制で開発していますか。

 

大村 大手家電メーカーからスカウトした技術者が開発に携わっています。09年にまず1人を採用し、それ以来、徐々に人数を増やし、現在では約90人が開発部門に在籍しています。08年秋の、いわゆるリーマン・ショック後の大手家電メーカーが実施したリストラによって、人材が獲得しやすい状況が生まれました。どの社員も、大手メーカーにおける商品開発で実績のある優秀な技術者ばかりです。

 

──家電製品とベビー・子供用品とではまったく分野が違います。

 

大村 彼らも最初は「自分にできるだろうか」と思っていたようです。しかし、私も技術者出身なのでわかるのですが、モノづくりの基本は同じなのです。商品の仕様書を作成するところから、品質、数量、納期を管理する流れに沿って開発していけば、分野の違いは問題ではありません。

 

──具体的にこれまでどのようなPBを開発しましたか。

 

大村 最初の商品は10年に発売した、「スマートエンジェル」のブランド名で展開するベビーバギーです。当時、高級ブランドの商品でも、指を挟み、けがをする事故が多発し、大きな問題になっていました。当社では、そういった事故が起こらない商品をめざし開発をスタートしました。金属部品の角度を工夫することにより、安全に開閉できる商品を実現させました。大きめのタイヤを採用することで乗り心地もよくし、また紫外線をカットする幌もつけました。

 

 発売直後から評判も上々で、その後モデルチェンジを経て、16年には「バギーfanロングプラス」というシリーズで「グッドデザイン賞」を受賞することもできました。

 

──特定の機能に絞って開発しているのですか。

 

大村 日本の家電メーカーは多機能にこだわる企業が多いのですが、当社のPBは必要な機能はしっかりと確保し、それ以外のムダなものはカットするという方針で開発しています。これにより、お客さまに対し、使い勝手がよく、さらにお求めやすい価格で商品を提供することが可能になります。

 

西松屋チェーンは本格的なPB開発に取り組んでいる。写真は「スマートエンジェル」ブランドで販売する「くみあわせマット」。通算販売数は500万セットに上るヒット商品だ2015年に発売した「エルフィンドール」ブランドの子供用ズボン「ストレッチパンツ」。動きやすいのが特徴で、16年シーズンには100万本を販売した

──ベビーバギー以外にはどのような商品がありますか。

 

大村 同じく「スマートエンジェル」で出している、「くみあわせマット」もよく売れています。正方形状のポリウレタン素材のやわらかいマットで、組み合わせることで部屋を楽しい雰囲気に演出できる商品です。価格は8枚入りで税込469円です。この3年間、コンスタントに週1.5万~2万セットが売れており、通算販売数は500万セットに上るヒット商品となっています。

 

 衣料や服飾雑貨、寝具などは「エルフィンドール」というブランドで展開しています。そのうち「ストレッチパンツ」は15年に発売した子供向けのズボンです。伸縮性の高い素材を使っているため動きやすく、カラーバリエーションも揃えたことで、お客さまの支持を得ることができ、16年シーズンには100万本を販売しました。

 

──これまでに開発したPBはどれくらいありますか。

 

大村 育児用品、衣料、生活関連用品などで約1500品目です。18年2月期の上半期の実績では、PBの売上高構成比が1割弱、粗利益額の構成比では1割超の水準となっています。PBは差別化することができ、利益への貢献度が高い商品です。将来的には、売上高構成比5割まで引き上げることを目標にしています。

 

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