想像以上に深刻な魚離れ……千葉・外房で実験進む「鮮魚DX」がスーパーの魚売場を変える!?
昨年の秋、日本テレビ系で「ファーストペンギン」というドラマをやっていたのだが、ご覧になった方もいるだろうか。徒手空拳のシングルマザーがひょんなことから漁港の再建に取り組み、さまざまな既得権者からの妨害を乗り越えて、鮮魚の消費地への直送ビジネスを立ち上げる──という実話に基づいたドラマで、ベンチャー支援にも関わる身としては興味深く観ていた。ファーストペンギンとは、臆病なペンギンの群れの中で、リスクをものともせず、危険が潜む海に飛び込む最初の1羽に例えて、ベンチャービジネスを飛び込む起業家をイメージしたタイトルなのだが、主演女優の奈緒さんが時折見せる一種、狂気にも似た表情の演技は、ベンチャー経営者の側面を表現しているような気がして、引き込まれてみていた記憶がある。
想像以上に深刻な「魚離れ」
このドラマの背景となっていたのが、日本の食文化の基礎をなす魚食を支える水産業が存亡の危機にあることなのだが、統計などをみると現状はわれわれが思っている以上に酷い。
食用魚介類の国内生産量は、1970年代頃から漸減を続けて今やほぼ半減してしまった。90年代以降は輸入量の拡大で補ってきたが、2000年代からは国民1人あたりの消費量が下がったことによって、自給率が6割前後で推移しているということがわかる(図表①)。
食卓での肉食化、魚離れが続いているため、需要は右肩下がりで、魚価も上がらず、漁業従事者の収入も上がらない。漁業従事者数は減少傾向が続き、近年は若年層の新規従事者が若干増える傾向はあったが、依然として55歳以上の従事者が過半を占めているため、今後の人手不足は深刻な状況だ(図表②、③)。
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