【特別レポート】流通業のデジタルトランスフォーメーションを支援する「Dynamic Retailing」を展開

2019/09/19 15:46

 流通小売業の課題は人手不足への対応と生産性の向上。商品開発、MD計画、仕入、物流管理、品出し、接客、決済業務等…レイヤーの異なる複雑な業務の省人化を行いながら収益維持拡大していかなければならない。小売業の様々な業務を効率化するための自動化は必須であり、デジタルトランスフォーメーション(以下、DX)は業界で生き残りをはかるために大きなテーマになっている。
大日本印刷(以下、DNP)は流通業のDX推進を支援するソリューションを次々に開発提供。マイクロソフトとの協業でクラウドサービス「Microsoft Azure」を活用した「Dynamic Retailing」を展開している。

流通業のデジタルシフトは今後、さらに加速

 印刷業にとって大きな部門領域は、チラシをはじめとした「商業印刷」と請求書など帳票類を扱う「ビジネスフォーム」。1990年代半ば以降、インターネットの急速な普及は、「紙文化」へも影響を与え、新聞購読数減少に伴うチラシ印刷枚数の減少や、事務処理業務のペーパーレス化による帳票類削減の動きも定常化している。こうした印刷需要の低減傾向は印刷会社のビジネスモデル自体の転換も求められ、顧客企業を流通業にフォーカスすれば折り込みチラシや店頭POPに代わる集客販促施策のデジタルシフトも急務となってきている。

「当社事業のDXを通して、流通小売業の課題解決に寄与したい」とDNP 情報イノベーション事業部 C&Iセンターリテールプラットフォーム本部 サービス企画開発部の林 典彦 部長は語る。流通業のDXは、省人化対策として取り組まなければならない大きな課題。メーカーや卸も含め全サプライチェーンで総合的な改革を急ぐ必要がある。

DNPはより有用なデジタルサービスメニューを開発提供

大日本印刷株式会社 情報イノベーション事業部 C&Iセンター リテールプラットフォーム本部 サービス企画開発部
部長 林 典彦 氏

 こうした環境の中で、DNPも従来型のセールスプロモーションからデジタルチラシ、WEBアプリ、サイネージなどデジタル領域に事業を拡げ、顧客管理や決済の領域でもICカード、スマホアプリ決済などの施策を積極的に推進してきた。「現在では集客・販促・決済などの小売業向けデジタルサービスを一貫して開発し提供している」(林氏)という。

そしてサービスメニューの拡大を支えているのが、マイクロソフトのクラウドサービス「Microsoft Azure」(以下、Azure)だ。Azureのシステムに関しては、業界共通で基本となるシステム実装方式について、マイクロソフトがリファレンスアーキテクチャーを公開・提供しており、リファレンスアーキテクチャーを有効活用することでサービス構築期間の短縮が図れる。つまり無駄な開発努力を傾けなくて済むため、サービスインまでのスピードアップが可能になるというわけだ。

 このリファレンスアーキテクチャーが公開されることにより、流通業側は①差別化できる次世代型店舗開発と運営の実現に注力できる②イノベーションライフサイクルを短縮化(提供業務シナリオに基づくサービス開発期間を5割短縮)③PoC(実証実験)コストの削減(実装方式設計コストを7割削減)④将来的なシステム運用コストの5割削減などをマイクロソフトはアピールしている。

 またサービス開発を担うITパートナーも、公開されているリファレンスアーキテクチャーをベースとすることで、サービス提供者に対するサービス構築期間の短縮化が図れ、開発・運用・保守コストの削減にもつながるなど、開発に関わるリスクを低減できるメリットがある。

実績のあるデジタルシェルフや電子透かし技術も導入

大日本印刷株式会社 情報イノベーション事業部 C&Iセンター リテールプラットフォーム本部 サービス企画開発部 第2グループ 石田 朋大 氏

 DNPが提供するソリューションには他社との提携で導入した技術もある。
そのひとつが世界第2位の流通企業である米クローガーが導入しているデジタルシェルフ「EDGE」。価格・業務指示・広告映像などをリアプロジェクションスクリーン表示する。表示面のディスプレイ部分は、DNPのエレクトロニクス部門が開発し、高コントラスト、高視野角で、チラツキを抑えた部材を採用している。「国内では小売店舗でのPoCも実施し、効果検証を実施中」(DNP情報イノベーション事業部 C&Iセンターリテールプラットフォーム本部 サービス企画開発部 第2グループ・石田 朋大 氏)ほか、今後も複数の小売店舗で実験的な導入をすることが決まっているという。

 もうひとつが電子透かし技術「Digimarc Barcode」だ。米デジマーク社が開発した電子透かし技術は商品パッケージに印刷することで、レジスキャン作業を高速化することができる。従来バーコードによるJAN読込とは違い、商品パッケージのどの部分でもスキャニングが可能なためバーコードを探す時間が短縮でき、省人化が実現できる。
「“電子透かし”というだけに、人間の目では感知できない。特殊な印刷技術により埋め込まれた情報は、真贋判定などにも有効」(石田氏)というのがアピールポイント。

また、食品スーパー向けにDNPでは食品の安全性確保の観点からHACCPに対応した食品温度監視管理の業務を簡素化するソリューションを提供している。冷蔵庫や冷凍庫、保温庫にセンサーを設置し、取得したデータはゲートウェイを介してAzure上に開発したアプリケーションで管理される。食品温度に異常が検知されると指定担当者あてにスマホアプリ、電話、メール、FAX等でアラートが自動発信される。

これら流通業向けに最新テクノロジーによる店舗運営の効率化を実現する「Dynamic Retailing」に関するサービスの詳細は特別レポートで紹介している。

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