2023年のトレンドか?ハードサイダー&シードルの醸造所、専門店が増えている意外な事情

佐藤 良子
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ハードサイダー専門飲食店登場、テイクアウト需要も狙う

右から“塩たこ焼きに合う”をコンセプトにしたIPA1700円(メガ)。リンゴの甘みが強いテキカカシードル850円(S)。6種のリンゴに洋梨を配合したVin Vie 1100円(M)。リンゴとイチゴを醸した自社製のイチゴイチエ1500円(L)
右から“塩たこ焼きに合う”をコンセプトにしたクラフトビールのIPA・きみのわかなのわなかもね1700円(メガ)。リンゴの甘みが強いテキカカシードル850円(S)。6種のリンゴに洋梨を配合したVin Vie 1100円(M)。リンゴとイチゴを醸した自社製のイチゴイチエ1500円(L)

 「schwa2」を経営する(合)シクロは大阪・西成区で介護医療、在宅介護事業を手掛ける会社。

 朝から飲む高齢者や日雇い労働者が多い大阪・西成エリアにおいて就労支援を目的にクラフトビール事業を立ち上げ、2017年に醸造所『ディレイラ ブリューワークス』とクラフトビールのカフェバーをオープン。その後、続々と直営店を展開し、現在大阪・京都・福岡にクラフトビールの飲食店5店舗を運営する。

 そんな同社が、着目したのがハードサイダーの醸造だ。世界的にもクラフトビールの醸造所がハードサイダーを造る事例が増えていることや前述の国内の動きなどから着目したと話す。

 「schwa2」では自社の樽詰めハードサイダー1種と他社の樽詰めハードサイダー5種を中心に自社のクラフトビール5種を用意。カウンター前にタップがずらりと並び圧巻だ。

 またボトル(缶や瓶入り)ハードサイダーも全国の約2550銘柄を取り扱う。ショーケースに並べ、店内飲食需要のみならず、持ち帰り需要も狙う。

5830(ショーケース) 約25社50銘柄のハードサイダーが並ぶショーケース。土産や自宅用に持ち帰るお客も多い
約25社50銘柄のハードサイダーが並ぶショーケース。土産や自宅用に持ち帰るお客も多い

 “ハードサイダー”と言っても辛口から甘口、酸味が強いもの、ホップを加えて醸すもの、リンゴに加えその他のフルーツを醸すもの、茶葉を入れて醸すもの、ビール酵母を使うもの…などさまざまだ。アルコール度数も3%から10%と、いずれも低アルコールで幅広い。飲み口は白ワインに近く、料理はスパイスや海鮮料理が合うという。

 そこで同店では料理にスパイスや海鮮を多用。ハードサイダーとの相性を重視すると共に小皿ポーションにしてZ世代の一人客やカップルを集客するねらいだ。カップに描くイラストやPOPなオリジナルTシャツ、若い女性スタッフの投入など、店作りも特徴的だ。

 まだ認知拡大に努めている段階だというが、「飲みやすい」「酸味があるから料理と合う」「香りが多様で面白い」など、アルコール好きからも好意的な反応が得られ、評判は上々。現在、イベント出店にも注力し、ハードサイダーの認知拡大に努めている。

 このように、専門店が登場しさらに認知度が高まるハードサイダー。特に酒離れが叫ばれる若年層を中心に広がりを見せており、酒業界からの注目も高い。今後も注視すべき業態、そしてアルコール飲料だと言える。

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