実践ウェザーMD #5 21年3月は低温傾向の時期あり、ホットメニューの扱いに注意!注目カテゴリーは?

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2021年3月の注目カテゴリ

 以上のポイントを踏まえつつ、3月の注目すべきカテゴリのうち2つを代表例として、データとともに示したいと思います。

①コーヒードリンク

 季節の進みとともに本格的に気温上昇が始まる3月、気温上昇に反応して購入数の増加が期待できるのは飲料全般です。ここではその代表カテゴリとして「コーヒードリンク」のデータを取り上げます。

図表⑤ コーヒードリンクの気温と買物指数の関係(2019年及び2020年の1~7月)

 図表によると、最高気温がおおむね14℃以下の温度帯であれば、気温上下による購入数の増減幅もそれほど大きくありません。ですが、14℃以上の温度帯では気温上下による購入数の増減が大きくなります。最高気温が日々14℃を超えるようになる時期、すなわち最高気温の平年値が14℃を超えるのは、関東以西の太平洋側であれば3月中旬~下旬頃です。

②インスタントスープ

 2021年3月は高温の時期ばかりでなく、時折寒の戻りに見舞われる可能性が考えられます。そこで、この時期気温が低く寒く感じる日に購入数が大きく伸びるポテンシャルのあるカテゴリを把握しておきます。

 実際に寒の戻りが予想される場合は、売場を広げると良いとでしょう。冷えた体を温めるために手軽に飲めるホット飲料がその典型例です。ここではその代表として「インスタントスープ」のデータを示します。

図表⑥ インスタントスープの気温と買物指数の関係(2019年及び2020年の1~7月)

 図によると、3月、コーヒードリンクの例にならって最高気温が14℃前後と仮定すると、それより5℃低ければ購入数は約20%増加し、5℃高ければ購入数は約20%減少します。時期的には緩やかに店頭在庫を圧縮していく頃でしょう。過度な在庫圧縮による欠品は回避したいところです。

 気象庁から発表される予報のうち「3か月予報」について、「予報内容は必ず確認するものの、流通小売業の具体的な業務の流れの中に組み込まれていない」というケースが多いのではないかと思います。

 確かに、日々の天気予報や週間予報に比べると、「3か月予報」は予報精度が低く、またその予報内容も多少抽象的で判断しにくいのは事実です。本稿では、その悩みを少しでも解決できることを目指しています。「3か月予報」を業務の中でより実践的に活用するために参考にしていただければ、流通気象コンサルタントとしてこの上なき幸せです。

※抽出データ
株式会社True Data「ドルフィンアイ」(業態:スーパーマーケット)に搭載されている週次の買物指数(来店者100万人当たりの売上の意味を示す独自の指標)。抽出期間は2019年1月7日~2019年8月4日及び2020年1月6日~2020年8月2日(データ抽出日:2021年1月12日)。
(全国食品スーパーマーケットのPOSデータをもとに統計化した購買データで集計しています。データには店舗・個人を特定する情報は含まれていません)

※ご利用にあたっての注意事項
ここで掲げた注目アイテムは、長期予報の内容に基づいてピックアップしたものです。実際の天候が予報と大きく乖離し、ここで着目したような販売動向にならない場合があります。また、気象要素と購入数の関係から求めた需要予測モデルによる需要シミュレーションですので、気象以外の大きな要因による販売動向の影響は含まれていません。

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