アメリカ、牛乳離れの一方で植物由来ミルクが急拡大する事情と最新トレンド

2020/01/21 05:55
ファイゲンバーム裕香

アメリカでは、消費者の牛乳離れが進んでいる。牛乳の売上は急減し、大手メーカーも倒産の憂き目にあっている。そうした状況下で、牛乳に置き換わる形で急速に市場を広げているのが、植物由来ミルクである。その動きを追った。

植物由来ミルクは、牛乳の代替え品として急速にその市場を広げ、スーパーによっては牛乳よりも広い売場を展開していることもある
植物由来ミルクは、牛乳の代替え品として急速にその市場を広げ、スーパーによっては牛乳よりも広い売場を展開していることもある

環境問題、アレルギー、健康志向により
植物由来ミルクを選ぶ人が急増中

 アメリカの牛乳メーカー最大手であるDean Foodsは2019年11月、破産申請をした。声明の中で、Dean Foodsの最高経営責任者 Eric Beringauseは、「アメリカの消費者の牛乳の消費量が落ち込む中で、当社はコスト削減などの努力を行なったものの、厳しい状況に陥った」と述べた。特に19年の同社の上半期の売り上げは、7パーセント減り、利益は14パーセント減少した。また同年、Dean Foodsの株価は80パーセント下落した。ウォールマートやホールフーズマーケットなどの大手量販店が自社製の牛乳の販売に尽力しており、値下げを迫られていたことも、経営に大きな打撃を与えた。

 米国酪農家協同組合(Dairy Farmers of America)によれば、2018年の牛乳の売上は、前年に比べ約11億ドル減少し、136億ドルだった。アメリカにおける牛乳販売量は、2010年から減少しており、特に近年、酪農家は困難な時代を迎えている。

 牛乳の需要が減少傾向にある一方、植物由来の代替ミルクが注目を集めている。市場調査会社ミンテルによれば、アメリカ人の49パーセントは牛乳をやめて、植物由来のミルクを常用しているという。同じく調査会社のニールセンによれば、20186月から1年間の植物由来のミルクの売上は、対前年比9パーセント増で、その前年の3パーセント増という成長率を大きく上回った。一方で、牛乳の売上は同期間に6パーセント減少したという。この背景には、アレルギーや乳糖不耐症を持つ人だけではなく、健康志向の高まりや、環境への意識の向上などが挙げられる。

乳業メーカーは続々と植物由来ミルク製造へ事業転換中

 去年11月、カリフォルニア州でもっとも古くから酪農業を営んできたGiacomazzi Dairyは、125年の乳業の歴史を閉じて、アーモンドミルク事業に転向することを決めた。すでに、400エーカーのアーモンド畑を持っており、将来的には更に500エーカー拡大することを計画している。オーナーのDino Giacomazziは、ABCの取材に対して、「ここ5年は労働コストの上昇、牛乳の価格の低迷などから、乳業で利益をあげることが難しくなっていた」と語った。

 ニューヨークに本社をもつELMHURST社も、1925年に設立されたアメリカ東海岸の、もっとも大きな乳製品会社の1つだったが、創業者のヘンリーが「低温殺菌牛乳は、今や時代遅れになっている」と感じ、2017年に乳業を完全に閉じることにした。その後、植物性ミルクの会社として再出発を果たし、ヘーゼルナッツ、カシューナッツ、クルミ、ピーナッツなどのミルクを売り始めると、アーモンドミルク、オートミルクが大ヒット商品となった。このように多くの酪農家が今、事業を転向している。

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