米国でスーパーフードとして注目集まる昆虫食 三つ星シェフ監修のプロテインバーもスーパーに登場

2020/03/18 05:30
ファイゲンバーム裕香

近年、世界では「昆虫食」に高い関心が寄せられている。昆虫食が注目を浴びているのは、2013年に国際連合食糧農業機関(FAO)が発表した報告書が1つのきっかけと言われている。2050年には世界の人口が現在の約75億人から90億人を超え、深刻な食糧危機に陥る可能性があり、食糧問題や環境問題の解決策の1つとして、昆虫を食用としたり、家畜の飼料にしたりすることを推奨したのだ。今回、アメリカの昆虫食市場の広がり、スーパーマーケット等での販売状況をレポートする。

EXOのコオロギプロテインバー
Aspire Foodが買収したExoのコオロギプロテインバー

コオロギは牛肉を遥かに上回る高タンパク質食

 昆虫食は、牛や豚などの家畜に比べると、数分の一の飼料で育ち、水も不要で、タンパク質やビタミン、ミネラルなど高い栄養価を含んでいる。そのため昆虫食はスーパーフードとしても注目を集めており、アンジェリーナ・ジョリーやニコール・キッドマンなどのアメリカのセレブリティも、昆虫食を実践しているという。内山昭一著「昆虫食入門」によれば、「多くの昆虫で、タンパク質が乾燥重量の50%以上あり、他の動物性食品に勝るとも劣らない良質な食品である」という。

 市場調査会社のメティキュラスリサーチによれば、世界の食用昆虫市場は、2019年から2030年までに年平均24.4%の成長率で拡大し、2030年までに79億6000万ドルに達すると見込んでいる。スウェーデンの昆虫食事情の紹介サイト「BugBurger」のリストによると、今年1月の時点で、昆虫食を扱う企業は、世界で295社にのぼるという。中でもコオロギが最大のシェアを獲得していて、2017年のデータでは食用昆虫市場の31.6%を占めた。

同じくExoのコオロギパウダーを使ったスムージー
同じくExoブランドのコオロギパウダーを使ったスムージー

 アメリカ・テキサス州の食用昆虫企業大手Aspire Foodは、コオロギを原料とした様々な食品を製造している。現在までに1800万ドルを調達し、20183月には同業の、コオロギから作られたプロテインバーを作るExoを買収し、食用昆虫企業のメガブランドとして成長している。コオロギを使った商品を主にネット上で販売しているが、去年から約500店舗のアメリカの食料品店でも販売している。大部分は、テキサスのローカルスーパーマーケットHEBの店舗で、コオロギが入ったプロテインバーと、テキサスBBQ味の揚げコオロギなどを販売しており、売れ行きも好調だと、ExoCEO Jason Jones氏は話す。

 プロテインバーには、ローストされ細かく粉砕された約40匹分のコオロギが入っていて、使用するコオロギは、オーガニックの認定を受けた飼料で飼育したものだという。プロテインバーは、元ミシュランの三つ星レストランの料理長が監修しているというこだわりようだ。

 コオロギの栄養価の高さをみてみると、タンパク質含有量は約69%もあり、同29%の牛肉と比べ、圧倒的にタンパク質が豊富だ。コオロギには、ビタミン12、鉄、亜鉛、マグネシウム、ナトリウム、カリウム、カルシウムと共に、9つの必須アミノ酸が含まれている。コオロギの粉は、牛乳よりも多くのカルシウムとホウレンソウよりも多くの鉄を含んでいるという。

 Aspire Foodは、ロボット工学や自動データ収集などの先駆的技術を導入したハイテク施設で、食用コオロギを養殖しており、通常の3分の1の期間で、通常よりも50%大きな成虫に育てている。

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