アメリカ小売業トップ10社ランキングに見る、大手企業の最新動向!

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EC投資を加速させるクローガー インフレ下でコストコは絶好調

クローガーのトラックと従業員
米SM最大手のクローガーは物流インフラの強化を進めている

 食品スーパー(SM)としては米国最大手の規模を誇る4位のクローガーは、ECに係る物流インフラの強化を進めている。21年6月にネットスーパー専 業の英オカドグループ( Ocado Group)と提携、同社が有する最新技術を用いたEC専用の大型物流施設「カスタマー・フルフィルメントセンター」(以下、CFC)を稼働させている。CFCの数は徐々に増えており、それと並行して都市圏を中心に小型CFCを設置する「ハブ&スポーク戦略」により、配送スピードの向上を実現している。

 5位コストコの最新販売額は前年から12.2%増と上位企業の中でもとくに好調だ。年会費という初期費用は必要になるものの、インフレ下で価格の安さが支持を集めている。その傾向はホールセラー業態全体に共通しており、ウォルマート傘下の「サムズクラブ(Sam’s Club)」の業績も好調に推移している。

ターゲットの外観
ターゲットは新たな大型フォーマットを開発しさらなる成長を図る

 6位のターゲットも近年成長著しい小売企業の1つだ。同社は近年、都市型小型店フォーマットの開発によって都市圏の顧客の取り込みを図る一方、従来の大型店よりもさらに大きな「超大型店フォーマット」も開発。品揃えの拡大と店内フルフィルメント機能の向上を図ったもので、新規出店や既存店改装を介して、同フォーマットへの転換を進める考えである。また、「アルタ・ビューティ」「アップル」など外部の小売ブランドをショップ・イン・ショップのかたちで店内に誘致し、集客力を高めている。

クローガーによるアルバートソンズ買収の成否はいかに

クローガー
クローガーによるアルバートソンズ買収の成否は不透明な情勢

 このほかトップ10ランキングにおいて注目したいのが、クローガーによる10位アルバートソンズ買収の動きだ。クローガーは昨年10月にアルバートソンズの買収計画を発表。買収総額は200億ドル超に上る超大型M&A(合併・買収)案件で、業界内外の注目を集めた。

 ただ、米連邦取引委員会(FTC)による調査が行われているほか、今年5月には双方の従業員の多くが加盟する米SM労働組合が合併に反対を表明するなど買収実現は不透明な情勢だ。

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記事執筆者

ダイヤモンド・チェーンストア編集部 / 株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア

ダイヤモンド・チェーンストア編集部は、業界をリードする提案型編集方針を掲げ、小売業の未来を読者と共に創造します。私たちは単なるニュース伝達に留まらず、革新的なビジネスモデルやトレンドを積極的に取り上げ、業界全体に先駆けて解説することを使命としています。毎号、経営のトップランナーへの深掘りインタビューを通じて、その思考や戦略を読者に紹介します。新しくオープンする店舗やリニューアルされた店舗の最新情報を、速報性と詳細な分析で提供し、読者が他では得られない洞察を手に入れられるよう努めています。私たちの鋭い市場分析と、現場の細部にわたる観察を通じて、注目すべき店舗運営の秘訣を明らかにします。

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