新聞報道を鵜呑みにしない セブン-イレブンの7月不振・8月好調の理由を検証する

2019/09/19 05:04
柳平 孝(いちよし経済研究所)

9月も半ばだが、東京はまだ暑い日も多い。関東地方は7月末の梅雨明けから一転、8月からは猛暑模様の高気温となった。暑さのピークアウトを待ち望みつつ、道産子の筆者は気温の上下に翻弄され、日々、夏バテ気味で過ごしながら、今日も小売業界に少々思いを馳せるのであった

7payでやらかした3つの失態

 8月14日付の某経済新聞の朝刊一面に「セブン、全店売上高減」との見出しがあった。記事の主な内容は「セブンイレブン・ジャパンの7月のチェーン全店の売上高が前年同月比1.2%減となり、(全店ベースでの)前年割れは94ヵ月ぶり」との主旨であった。サブ見出しは“7月、9年ぶり セブンペイ問題逆風”とあり、スマートフォン決済サービス「セブンペイ」の不正利用の発覚およびサービス終了発表が売上減少に影響しているとの見方を示唆しているように見受けられた。たしかに、「セブンペイ」問題は、同社ならびにフランチャイズチェーン(FC)加盟店にとって痛手であったであろう。

 ここで「セブンペイ」騒動を振り返ってみよう。セブンペイ(以下7pay)とは、セブン&アイ・ホールディングスの傘下であるセブン・ペイが提供するスマホ決済サービスで、20197月1日から全国のセブンイレブンの店舗にて利用開始となった。しかし、73日に大規模な不正利用が判明したことで、74日に現金チャージ利用および新規会員登録を停止した。そして、730日に共通IDである7iDの全会員(1,650万人)のパスワードを一斉リセットし、81日に7payのサービスを2019930日に廃止することを発表した。この間、金融庁は、セブン・ペイに対して(当該不正使用案件に関して)資金決済法に基づく報告徴求命令を出す事態となっている(78)

 大騒動であったが、セブン・ペイおよびセブン&アイ・ホールディングス(以下7IHD)側の失態・失策も否めない状況が続いた。

 第1弾は、74日の謝罪会見である。セキュリティ上の基本機能である2段階認証を導入していなかった理由を質問された小林強セブン・ペイ社長が「2段階うんぬんと同じ土俵で比べられるのか、私自身は認識していない」と発言し、素人ぶり(あるいは謝罪会見前の準備不足)を露呈してしまった。

 第2弾は、81日の記者会見である。7payのサービスを9月末で廃止するという重大発表にもかかわらず、運営会社セブン・ペイの社長である小林強氏が同席しなかったことで、“敵前逃亡”との印象が否めないものとなった。そうした流れの中で、後藤克弘7IHD副社長の「辞任については今は考えていない」との発言が“誰も責任をとらない”との受け取られ方をした可能性も否めない雰囲気となった。

 ただし、当該記者会見での会社側の出席者の顔ぶれを見ると、小林強氏こそ出席していなかったものの、7IHDの後藤克弘副社長とグループ内の実務担当者(と推察される布陣)となっている。74日会見の反省があったことと、グループ全体の重要問題として再定義し直したと考えられる。また、当該問題に関して、グループの各子会社間・組織間を横断的に調査・調整するには、客観的に見て、ホールディングスの代表取締役・副社長の立場にある後藤氏が陣頭指揮を執る必要があると見られ、経営責任についてコメントできる状況ではなかったはずである。81日の記者会見(後藤氏の発言を含む)は、再評価されていいのではないかと思われる。

 しかしながら、第3弾が炸裂する。730日におけるグループ共通ID7iD」のパスワード一斉リセットである。これにより、既存のセブンアプリをはじめとした7&I・HDに関連するスマホアプリの利用者は全員、パスワードを再設定する必要に迫られた。しかし、再設定画面は、生年月日や電話番号といった個人情報の再入力を要求するものであった。「セキュリティの甘さを露呈した会社に再び個人情報を提供するとは“よほどのお人好しか、情弱(情報弱者)か”」と反発した消費者が少なくなかったであろうことは容易に想像できる。また、パスワードの再設定に応じようとした利用者も、会社側の不手際で手間取ったようである。

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