食品スーパーが規模拡大と地域密着を両立する方法

2019/05/30 05:05
柳平 孝(いちよし経済研究所)

5月下旬は異例の高気温となった。5月26日には、北海道東部の佐呂間町で気温39.5℃を観測、5月として全国の観測史上最高気温の更新となった(従来の5月の最高気温は埼玉県秩父市で記録された1993年5月13日の37.2℃)。北海道で5月に猛暑日(=1日の最高気温が35℃以上になる日)となるのも初めてである。東京では、5月としては史上初の4日連続(24日~27日)の真夏日(=1日の最高気温が30℃以上になる日)となった(本稿執筆時点)。じわりと汗ばみつつ、今日も食品スーパーに少々思いを馳せるのであった。

 

道産子も勘違いする!ジンギスカンの道内の地域性

 北海道は筆者の故郷である。そして、道産子にとって、ジンギスカンは別格な伝統料理だと個人的に信じている。

 ある北海道の食品スーパー企業の社長さんに「店舗網の広域化に伴って、道内の地域性の違いと対応の必要性を認識した」とのお話を伺った際、同じ道内でもジンギスカンに地域性があることを知り、驚きを隠せなかった。筆者は、ジンギスカンと言えば、タレに付け込んだ「味付け肉」のみを指すと思い込んでいたためだ。実際には、北海道において、「味付け」が主流なのは北海道の北部(旭川・深川・岩見沢など)であり、北海道の南部(札幌、函館など)と道東(釧路など)では「生肉」が主流とのことであった。

 このお話を伺った冬のある日、突如、あることを思い出し、顔から火が出そうなくらい恥ずかしくなった。大学時代、ゼミの打ち上げで「札幌ビール園」に行った際に、生肉ジンギスカンが出され、“このお店は間違っている”と信じ込んでいたことが記憶の奥底からよみがえってきたためだ。無知だったとはいえ、当の札幌ビール園さんには長年、大変申し訳ない誤解をしていたことになる。じわりと冷や汗が流れ、汗に反応して暖かさを増すユニクロのヒートテックがさらに発汗を促し、汗に反応する柔軟剤の作用でバラの香りにつつまれるというシュールな状況となった。筆者の恥ずかしい思い出の1つである。

 たしかに、北海道は広く、地域によって気候や産業も異なる。ざっくりと表現すれば、道北・道南・道東・道央という感じだろうか。道内の代表的な食品スーパー企業のアークスは傘下の食品スーパー企業を、ひし形を4分割するような形で配置している。すなわち、札幌・道央のラルズ・東光ストア、帯広・釧路の福原、旭川の道北アークス(旧フジ)、そして北見・網走の道東アークス、函館の道南ラルズである。各々の地域性を考慮すると、地域別の法人配置は自然な布陣と思われる。

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近県でも大きく異なる食文化をどう制するか!?

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