OECD、19年世界成長率を3.2%に下方修正 米中関税合戦などで

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5月21日、経済協力開発機構(OCED)は2019年の世界経済成長率見通しを3月時点と比べ0.1ポイント低い前年比3.2%に引き下げた。米中による関税引き上げと中国経済の減速が主因。写真はパリのOECD本部。2009年9月撮影(2019年 ロイター/Charles Platiau)

[パリ/東京 21日 ロイター] – 経済協力開発機構(OCED)は21日、2019年の世界経済成長率見通しを3月時点と比べ0.1ポイント低い前年比3.2%に引き下げた。米中による関税引き上げと中国経済の減速が主因。

米国がさらなる対中関税を発動した場合、最悪のケースで世界の経済成長率が0.6ポイント下押しされるとの試算も公表し、国際協調の強化などを提言した。日本の19年の成長率見通しも、輸出・生産の減少を背景に小幅下方修正した。

OECDによる19年の世界経済の成長率見通しは昨年11月の3.5%から3月は3.3%、そして今回は3.2%と急ピッチで引き下げられている。先行きのリスクとして、1)貿易制限のさらなる拡大による投資・雇用・消費への弊害、2)中国経済の急減速の世界中の経済活動への影響、3)民間部門の債務──を挙げている。

今回は米中貿易対立の影響について試算。今月発動された米国による2000億ドル相当の中国からの輸入に対する25%の関税および中国による600億ドル相当の米国製品に対する報復関税により、2021年から22年にかけて中国の成長率を0.2ポイント強、米国の成長率を0.2ポイント、世界の成長率を0.1ポイント押し下げると試算し、今回の見通しに反映している。

トランプ米大統領が検討している、一次産品を除く全ての中国からの輸入を対象とする25%の追加関税が発動された場合、世界の経済成長率を0.4ポイント押し下げると試算。これらの関税に伴う投資リスクも考慮した場合、世界の経済成長率が0.6ポイント下押しされるとみている。

また、中国で今後2年間に需要が2%減少した場合の実質国内総生産(GDP)への影響も試算。米国で1.4ポイント、ユーロ圏で1.3ポイント、日本で1.8ポイント、世界全体で1.7ポイント下押しされるとみており、日本への影響が特に大きい。

OECDとしては、各国政府に対して、1)インフラ・デジタル化などに対する投資、2)ユーロ圏における構造政策と財政政策、3)国際協調の強化とルールに基づく国際経済の枠組みの修復による貿易紛争の解決──を提唱している。

〔表〕OECDの世界経済成長率見通し(%、カッコ内は従来見通し)
2019年 2020年
世界 3.2(3.3) 3.4(3.4)
中国 6.2(6.2) 6.0(6.0)
米国 2.8(2.6) 2.3(2.2)
ユーロ圏 1.2(1.0) 1.4(1.2)
日本 0.7(0.8) 0.6(0.7)

(竹本能文)

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