2024年問題で切迫!小売業の物流改革のゆくえと成功事例とは

文:大宮 弓絵 (ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長)
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卸や物流事業者とタッグを組む手法も

 しかし、これらの企業のような物流センターの自前化はハードルが高い企業も多いだろう。その場合、卸や物流事業者と強い連携関係を構築する方法もある。

 たとえば、北海道・東北・北関東を拠点にSM10社をグループに持つアークス(北海道)は、商圏エリアが広大ながら、物流ルートや拠点、トラックへの商品積載計画などを自社で緻密に設計。物流センター運営を担う卸や運送事業者ら取引先とも長年をかけて関係を築き、各店舗への納品は、トラックに複数カテゴリーを混載し1便で済む体制を構築できている。

 物流業務を包括的に管理する3PL(サードパーティ・ロジスティクス)事業者と手を組む方法もある。本特集に登場するビーイングホールディングス(石川県)は、「運ばない物流®」「見える物流」を標ぼうし、メーカー、卸、小売企業の物流センターを1カ所に集約。物流センターの在庫量や商品の入出庫時間、配送車両の位置情報など、モノの流れをリアルタイムで見える化して、サプライチェーン全体の最適化につなげるという先進的なモデルを構築し、ドラッグストアやCVSからの受託を増やしている。

 このように戦略実行のための施策にもさまざまな方法があり、自社の事業規模や経営戦略、経営資源に合わせて自社の物流をデザインしていきたい。

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大宮 弓絵 / ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長

1986年生まれ。福井県芦原温泉出身。同志社女子大学卒業後、東海地方のケーブルテレビ局でキャスターとして勤務。その後、『ダイヤモンド・チェーンストア』の編集記者に転身。最近の担当特集は、コンビニ、生協・食品EC、物流など。ウェビナーや業界イベントの司会、コーディネーターも務める。2022年より食品小売業界の優れたサステナビリティ施策を表彰する「サステナブル・リテイリング表彰」を立ち上げるなど、情報を通じて業界の活性化に貢献することをめざす。グロービス経営大学院 経営学修士

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