2024年問題で切迫!小売業の物流改革のゆくえと成功事例とは

文:大宮 弓絵 (ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長)
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プロフィットセンター化をすでに実現する企業も

 中長期的な戦略や投資計画の立案では、自社の経営戦略に即した物流戦略を立案し実行していきたい。

 先進企業ではすでに独自の物流戦略によって競争優位性を発揮している。人口減が進み、かつ土地が広大なゆえに物流問題がとくに深刻な北海道では、生活協同組合コープさっぽろ(北海道)やセコマ(北海道)が、すでに全道に独自の物流ネットワークを構築。その基盤を生かして他社の配送を担うなど、物流を、収益を創出する「プロフィットセンター化」することに成功している。とくにコープさっぽろは、基幹物流を担う関連会社の北海道ロジサービス(北海道)の外販比率を35%超(22年度)まで高めており、組織全体における今後の成長の柱の1つとしていく方針だ。

 プロフィットセンター化の事例では、北関東を中心に店舗展開するカスミ(茨城県)のようにトランスファーセンター(TC:通過型物流センター)を活用したケースもある。同社はTCの遊休時間とスペース、倉庫内搬送機器を、物流事業会社にレンタルすることで収入を得るほか、約80の運送事業会社と、メーカーとベンダーをマッチングして共同配送も実現し、物流改善に成功している。

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大宮 弓絵 / ダイヤモンド・チェーンストア 副編集長

1986年生まれ。福井県芦原温泉出身。同志社女子大学卒業後、東海地方のケーブルテレビ局でキャスターとして勤務。その後、『ダイヤモンド・チェーンストア』の編集記者に転身。最近の担当特集は、コンビニ、生協・食品EC、物流など。ウェビナーや業界イベントの司会、コーディネーターも務める。2022年より食品小売業界の優れたサステナビリティ施策を表彰する「サステナブル・リテイリング表彰」を立ち上げるなど、情報を通じて業界の活性化に貢献することをめざす。グロービス経営大学院 経営学修士

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