セブン-イレブンのクイックコマース「7NOW」が店舗急拡大の理由と戦略とは

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コンビニエンスストア(CVS)最大手のセブン-イレブン・ジャパン(東京都/永松文彦社長:以下、セブン-イレブン)は、コロナ禍以降の「人流に頼らないビジネス」として、即時配達サービス「7NOW(セブンナウ)」を重要な施策に位置づけている。対応店舗拡大と利便性向上に取り組みながら、着実に事業を成長させていく考えだ。

人流に依存せず新たなニーズを開拓

セブンイレブンジャパン執行役員企画本部ラストワンマイル推進部長兼ラストワンマイルプロジェクトリーダー 藤田重人氏
執行役員企画本部ラストワンマイル推進部長兼ラストワンマイルプロジェクトリーダー 藤田重人氏

 「7NOWの導入店舗は2022年12月末時点で2000店舗ほどだが、23年2月末までに1都3県を中心に一気に5000店舗を超える規模まで増やし、全国での事業展開に向けてアクセルを踏んでいく──」。こう勢いよく切り出すのは、執行役員企画本部ラストワンマイル推進部長兼ラストワンマイルプロジェクトリーダーの藤田重人氏だ。

 このコロナ禍で、ドラッグストアや食品スーパーが大きく業績を伸ばしたのに対し、CVSは売上を落とした。これまではどうしても実店舗を中心に、人流に頼るビジネスモデルになっていたが、「7NOWは人流に依存しないサービスとして、経営戦略でも重要な役割を果たすことになる」(藤田氏)という。

 7NOWは、インターネットでの注文受け付けから最短30分で最寄りのセブン-イレブンにある商品を届けるクイックコマースサービス。最低注文料金は1000円(税抜)、1回の利用につき110~550円(税込)の配送料がかかる。注文可能な商品は店舗によるが、三温度帯に対応し、在庫がリアルタイムで表示されるのが大きな強みだ。

7NOWでのピッキングの様子
7NOWでのピッキングの様子

 配達に関しては、CBcloudや、セイノーホールディングス(岐阜県)の完全子会社であるGENieなどと連携。注文が入ると、配送スタッフが店舗まで商品を受け取りに行き、お客に届ける体制だ。

 「ネットスーパーと同じ土俵で戦うわけではない」と藤田氏は言う。「7NOWはあくまでもクイックコマースで、ほしい商品を短時間で届けるサービス。店舗の品揃えと同等のため、ピッキングもCVSの小さい店内ではさほど時間もかからず効率がよい」(藤田氏)。また、専用端末には商品が画像付きで表示され、ベテランのスタッフでなくとも作業がしやすくなっている。

 サービスの提供を開始したのは17年10月。北海道の一部店舗からテスト運用をスタートした(当時のサービス名は「セブン-イレブンネットコンビニ」)。19年11月に広島県、20年7月には東京都の店舗にも導入。20年12月からは最短30分での配送が可能になった。

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ダイヤモンド・チェーンストア編集部 / 株式会社ダイヤモンド・リテイルメディア

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