欠陥品に返品、大量廃棄…マーケットプレイスの商品問題噴出で、アマゾンの方針転換とは?
返品を中古品として販売する新たな取り組みも
ますます増大する出品者の商品を巡る問題にアマゾンは頭を悩ませている。返品や売れ残り商品の廃棄についても批判の声が上がっており、21年8月には2つの取り組みを発表した。同社は、出品者の商品の保管と配送などを代行するサービス「フルフィルメント・バイ・アマゾン(FBA)」を提供している。同サービスの一環として新たに「FBAグレード&リセル(評価・再版)」「FBAリクイデーション(現金化)」を開始した。

「FBAグレード&リセル」は返品を中古品としてアマゾンのサイトで再び販売できる仕組み。返品された商品は自動的にアマゾンの倉庫に送られ、アマゾンが状態を「新品同様」「優良」「良」「販売可能」に分類。出品者が評価に基づき中古価格を設定し、アマゾンのサイトで販売する。すでに英国で始めている取り組みで、21年内に米国でも開始する見通しだ。さらに22年初頭には、ドイツやフランス、イタリア、スペインなどへの拡大をめざす。
一方「FBAリクイデーション」では、返品や過剰在庫を一括して在庫買取業者に販売する。これにより出品者は在庫コストの一部を回収することができる。まずは、米国や英国、ドイツ、フランス、イタリア、スペインで開始する。
大量廃棄への批判かわす狙い
21年6月、「アマゾンが英国の物流施設で毎年、数百万点の売れ残り商品を廃棄処分している」と英メディアのITVニュースが報じており、これらの新たな取り組みの影には批判をかわす狙いもある。ただしアマゾンは、「顧客からの返品はすべての小売業者にとって避けて通れない現実で、これにどう対処するかは業界全体の課題」と述べており、消費者の意識改革も必要といえそうだ。
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