生き残るために「ハイブリッド型チェーンストア」を志向=バローHD 田代 正美 会長兼社長

聞き手:下田健司
構成:田中 浩介
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自社競合は想定内 複数業態でシェア高める

──この数年、インフラ整備に力を入れていますね。昨年8月には、岐阜県可児市に精肉のPCが稼働しました。

田代 15年度下期からPC稼働の効果が表れています。畜産部門の15年度下期の店舗経費はPC移行前に比べて3分の1に縮小し、15年度通期の売上総利益率は0.25ポイント改善できました。15年度中に畜産部門の商品すべてをPCから供給する体制を整えました。今年度はPCにおける商品開発を強化しているところです。

 総菜についても、グループの中部フーズ(岐阜県/安田勝彦社長)が岐阜県と静岡県の工場で下処理し、キット化して全店に納品しています。店舗では温めたり、混ぜたりする仕上げの作業を行うだけにしました。人材の採用が難しくなるなかで、自前のPCと製造工場の収益への貢献度は年々高まっています。

── 中期3ヵ年計画では、SMの既存店強化のほかDgSとHCの業容拡大を掲げています。

田代 15年度は、DgSとHCともに好調で、増収増益に大きく寄与しました。とくにDgSは過去最高の33店舗を出店し、店舗数が300店舗の大台に乗りました。今年度は前年度を上回る40店舗の出店を計画しています。食品については自社競合することになりますが、SMが生鮮食品に磨きをかけることで、グループ全体として食品の売上が増えればよいと前向きにとらえています。HCについては年間1~2店舗を出店し、専門性の強化を図っていく考えです。

── 最後に昨年10月に持ち株会社体制に移行しましたが、どのような成果がありましたか。

田代 ガバナンスが強化されました。製造小売化を進めていくなかで、リスク管理が重要になっていました。当社にはグループ会社が32社ありますが、すべての会社にコンプライアンス(法令遵守)推進の担当者を置くことは難しいのが現状です。そのため、持ち株会社の専任担当が管理することで、グループ会社のコンプライアンスを徹底しようと考えたのです。

 持ち株会社の機能の一部は、今年3月に設置した名古屋本部(愛知県名古屋市)に移しました。おもに人事担当の人員を集約し、新卒採用はすべて名古屋本部で行うようにしています。

 長期的には売上高1兆円を目標に据えていますが、その達成に向けてグループ全体としての戦略立案・意思決定が求められるはずです。その際にも、持ち株会社体制のほうがメリットは大きいと考えています。

 

バローホールディングス

 

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