既存店全店を改装、小商圏高占拠率の店舗網を拡大=マックスバリュ東海 神尾 啓治 社長

聞き手:大木戸 歩
構成:田中 浩介
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中国事業は1号店を軌道に乗せることに集中

──さて、昨年からネットスーパーのサービス提供を開始しています。

神尾 12年10月から「マックスバリュ熱海店」(静岡県熱海市)でネットスーパーのサービスを始めました。熱海市内は坂が多いほか、住民の高齢化が進んでいます。以前から店舗で購入された商品をご自宅にお届けする宅配の需要が高いこともあり、商圏人口は約5万人と少ないのですが、同店から実験をスタートしました。ただ、現実的には、店頭での買物のほうが安心されるらしく、高齢のお客さまのご利用は期待ほど多くありませんでした。

 一方で子どもを抱える30歳代の女性の利用が増えています。

 この6月から配送エリア内人口が約15万人の「マックスバリュ御殿場原里店」(静岡県御殿場市)でもネットスーパーのサービスを開始しました。30歳代女性の利用率が熱海店よりも高く、潜在的な需要はあるようです。

 当社はネットスーパーでは後発になりますが、生鮮食品の品揃えを充実させているので、他社との差別化はできると考えています。

──今年1月、中国にSM1号店を出店しました。今後の中国展開について教えてください。

神尾 中国南部の広東省広州市にあるショッピングセンター内に、売場面積2323平方メートルの「マックスバリュ太陽新天地店」をオープンしました。中国では生鮮食品やデリカの売場をコンセッショナリー(店舗名を出さない専門店)にまかせる運営方法が多いのですが、当社はノウハウを蓄積するため直営主体にしています。

 オープン当初は目標の7割程度の売上でスタートしましたが、ここ数カ月は計画どおりに推移しています。日本式の販促が好評で、日本と同様に「火曜・水曜市」を実施したところ、来店客数が大幅に増えました。

 しかしながら、粗利益率は目標に届かず、15%前後の水準にあります。中国のお客さまが必要とする商品をまだ正確につかみ切れておらず、値引き販売が多くなっているためです。現在は、品揃えを見直していくことで値引きを減少させ、粗利益率の目標をクリアすることに注力しているところです。

 今期は1号店を軌道に乗せることに集中します。そして、開業から3年以内で営業利益の黒字化達成をめざします。

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