巨人軍の名将・川上哲治氏著の『遺言』からリーダー・ビジネスマン向けの選りすぐりの金言を紹介 

千田直哉
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 ●一般企業と同様、団体競技の世界、プロ野球のような競争組織はトップの人格、力量次第である。プロ野球ならチームの盛衰は監督の力で99%が決まる。競争している組織は常に「成長期」でなければならない

 ●選手が正確なプレーをできるようにするのがコーチの役目なのである

 ●人や集団を教え育ててなにかをつくっていくには、それなりの「管理」が必要だということだ

 ●技術プラス精神力が実力だ

 ●教えないと人は育たないが、教えすぎても人は育たない。よいコーチがいれば技術は習得しやすいが、教えられる範囲とレベルは大体が平均値のもので、本物の技術、本当の力は、その人ならではの力量は自分自身でつかむものだからだ

 ●3割バッターも15勝ピッチャーもつくるものではない。生まれるものだ

 ●真剣にやれば幸運を招くのですよ。(中略)「あれほどの努力を人は運といい」という川柳があるが、「運」という字は運ぶと書く

 ●データは学んで捨てよ。それでもいったん覚えたものは頭の隅には残っているもので、これがとっさにひょいと役立ったりする

 ●遅刻行為は厳罰だ。「集合時間に10分遅れて、チームの30人に迷惑をかけたとする。その1人1人に10分ずつロスさせて、30人分で計300分、時間にして5時間だ。その5時間を無駄にさせたことをどう考えるのか」

 ●集団には必ず不満組、怠慢組、キズをなめ合う弱虫連合があって、この連合には目を光らせて、時には大ナタを振って分断しなければならないだろう

 ●監督としてはむろん、ハイハイと選手のいうことをそのまま受け入れてはならない。人は立場で生きており、その立場が違うのだ

 ●捨てるのはやさしく、育てるのは難しいのが「人事」というものだ

 ●優れた業績はあげないが、これといった欠点もないというタイプの人が大勢いるものだ。しかし、こういう人は比較的順調にいくが、責任のある地位や役職には就けない

 ●一般の会社でも優等生社員ばかりを採用しておきながら、個性的な型破りなタイプの社員を欲しがる。問題を起こしそうにない素直な青年を好みながら、壁を打ち破る思い切った仕事を要求するのではどこか無理というものだ

 ●プロの練習は「反省」「研究」「訓練」で三位一体だが、どれほど真剣に徹底してそれに取り組んでいけるかがカギだ。

 などなど――。あとは、購入いただき、読んでほしい。

 著作は川上さんが81歳の時のもの。これが最後の著作であろうという意味もあって、タイトルを「遺言」にしたという。

 一度もお会いしたことはなかったが、駆け出しの管理職として悩んでいた時期に初めて読んだこともあり、管理者としてのあり方をずいぶん学ばせていただいた。『遺言』は、経営者が読んでもためになるビジネス秀書である。

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