世界最大のホームセンター、ホーム・デポの最新決算

リテイルライター:太田美和子、高浦佑介 (ダイヤモンド・ホームセンター編集長)
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店舗とECをつなぐ
クリック&コレクトに集中投資

「ワン・ホーム・デポ」における投資分野は、実店舗の利便性を高めること、新カテゴリーを導入し提供商品を拡大すること、デジタル体験を増やすこと、顧客が好きな方法で商品を受け取れるようにすること、業務用市場でのトップの地位を維持することである。

 ホーム・デポがこれまでの2年間の投資で最も多額を割いたのが店舗である。投資総額の半分近くに相当する50億ドル(約5500億円)を店舗に投資した。今後も事業の中核は店舗であるとの考えからだ。

 ホーム・デポは、自社の店舗の優位点は便利な立地にあると分析する。立地だけでなく、売場をわかりやすく買いやすい便利にしようと改装に取り組んでいる。求める商品を見つけやすくするために、携帯アプリのナビゲーション・システムを導入するなど、ハード面だけでなくソフト面でも工夫をこらす。あるいは精算レジやECで注文した商品の受取カウンターでの手続きをスピーディにするための設備にも投資している。同社の店舗は19年度末時点で米国、カナダ、メキシコに合わせて2291店舗ある。そのうちの60%以上がすでに改装を済ませた。

 ホーム・デポの売上高の約45%は建築業の顧客による売上である。同社は、専門性の高い商品を幅広く網羅し、配達や掛け売り、B2B専用のECサイトの開設など、業務筋のためのサービスを積極的に導入してきた。「ワン・ホーム・デポ」では、これらサービスをさらに発展させることに投資し、既存顧客の囲い込みと新規顧客の開拓を図る。

 建築業者などの業務筋の顧客に対しては、配達が成功の鍵と同社は配達網の構築に力を入れる。201月、業務用ECの配達に特化したフルフィルメントセンターをテキサス州ダラスにオープンした。ダラスには20年度、個人客向けECのフルフィルメントセンターを開設する予定である。同社はさらに、他の大都市にも、業務用および個人客用のフルフィルメントセンターを建設する計画を示している。

 「当社の戦略的投資は概ね順調で、成果が現れつつある。しかし、『ワン・ホーム・デポ』がその提供価値を最大限に発揮するには、まだやるべきことがある」とメニアCEOは決算発表の席で語った。

 

※ホーム・デポや、ロウズ、ウォルマート、アマゾンの最新経営戦略、デジタル戦略は、『ダイヤモンド・ホームセンター2020年4月15日号』の特集「アマゾンに打ち勝つホーム・デポ 進撃の米リアル小売」に約30ページ掲載しています

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記事執筆者

高浦佑介 / ダイヤモンド・ホームセンター編集長

2010年東京大学文学部卒業、12年同大学院修士課程(社会心理学)修了。14年ダイヤモンド・リテイルメディア入社。『ダイヤモンド・チェーンストア』誌の編集・記者を経て、19年4月より現職。

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