彷徨うコンビニその3 ファミリーマート、業界2位浮上も遠いセブンの背中

森田俊一(流通ジャーナリスト)
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商社の発想ではセブンに勝てない?

 ファミリーマートの国内総店舗数は現在1万5500店超となっている。同社はそのスケールを生かせているだろうか。

 かつて、コンビニに商社が相次いで資本参加した際、「商社に小売業の経営は難しい」(大手スーパー幹部)といわれた。商社は、主力事業の資源・エネルギー、機械の取引においては数十億円、数百億円の儲けを求めて商売を行う。かたや小売業は何円、何十円の利益を追い求める世界。この感覚の差は一朝一夕には埋められないだろう。

 あるコンビニの幹部は「商社は『大量のマグロを安く仕入れられたから、コンビニでマグロを使ったメニューを開発したらどうか』という発想でくる」と話す。そのような考えは小売の世界では通用しないだろう。

 セブン-イレブンの入れたてコーヒー「セブンカフェ」はすでに年間1000億円以上を売り上げており、コンビニになくてはならない商品として定着した。だがセブン-イレブンは、セブンカフェを軌道に乗せるまでに幾度となく失敗を繰り返している。セブン-イレブンとライバル他社との差はその徹底力ではないか。

 コンビニ飽和時代を迎えるなかであっても、コンビニチェーン各社は辛抱強く商品を軌道に乗せるという、ある意味で“地味”な作業を積み重ねていかなければならない。ファミリーマートには、業界2位として、トップを独走するセブン-イレブンを刺激する対抗馬になってもらいたいものである。

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