独自化と低価格の両面狙う!食品小売業の2024 年の商品政策総まとめ
市場外流通の拡大やPCの活用も進む
価格と価値の両軸を追求するうえで各社が本腰を入れているのが、プロセスセンター(PC)の活用だ。たとえばライフコーポレーション(大阪府)は20年に近畿圏の精肉加工を担うPCをスクラップ&ビルドし、規模を1.5倍に拡大。PCでの加工比率を引き上げ、人時生産性を高めた。
また、PCの規模拡大により、商品設計の見直しや人気商品のリニューアル、および生産数の増強などに対応できるようになり、カテゴリーの売上拡大と粗利益率の改善を実現している。さらにPCの最新機器を活用した独自商品の開発も進め、精肉部門は23年度中間期決算において増収増益となった。今後、競争力を高めるうえで、PCの活用はますます重要になってくるだろう。
「独自化の深耕」や「価格政策の強化」を進めるなかで、市場外流通(卸売市場を通さない取引)の拡大も進んでいる。とくに青果は異常気象や気候変動などによって供給が不安定になり、相場の乱高下が起きた。そのため、SM各社では、市場外流通の開拓や直接取引によって供給コストと価格の安定化を図っている。
こうしたなか、平和堂(滋賀県)の青果部門は低価格の実現をめざし、市場外流通商品の拡大を進めた。卸業者を通さないことで中間流通コストを削減し、価格に反映させるねらいだ。タチヤ(愛知県)の青果部門も、22年に農家との直接取引を始めている。シーズンを通して同一の仕入れ値で取引することで、相場の乱高下に左右されず、仕入れ量、品質、価格を安定させた。
一方、マルト(福島県)の鮮魚部門は鮮度を打ち出すことで他社との差別化を図るために市場外流通を活用。長年にわたる地元の漁港との信頼関係のもと、漁港で水揚げされ市場に出荷される前の鮮魚を、近隣の店舗へ直送する体制を確立している。
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節約志向のさらなる高まりや価格競争の激化が予想されるなか、顧客離れを回避するために「価格政策」は各SMにとって急務となっている。しかし、各種コストが高騰し、これまでと同じナショナルブランド(NB)を値下げするような価格政策を採っても収益構造を維持できない。そうした状況下において、PBで価格訴求しつつ、粗利率の高い独自化商品を訴求することで粗利を確保することは競争を勝ち抜くためのキモとなるだろう。
本特集では、大きく変動する外部環境に対応すべく商品開発や、調達の拡大、売場づくりを行い、「独自化の深耕」「価格政策の強化」において一定の成果を上げている企業を取り上げた。各社の巧みな商品戦略は、自社の商品政策の指針の1つとなるはずだ。
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